第104号【オテンバは、オランダ語!?】
パソコンを習ってるという60代男性が、初めて本屋のパソコンコーナーをのぞいた時の事。 意味のわからない英語のタイトルばかりズラリと並んだ書棚に仰天。 勇気を出して一冊開いてみるとカタカナ語が洪水のようにあふれてる。 思わず「ここは日本か!」と叫んじゃったそうです。 この男性の苛立つ気持ちに同情する方もいらっしゃることでしょう。 IT関係のカタカナ語は聞き慣れない英単語ばかりですよね。 ( ̄~ ̄;)用語マニュアルも買わなきゃ。 同じカタカナ語でも昔からあるものは、既に意味がわかっているから安心です。 今となってはそれが舶来の言葉とは知らずに使っているものもたくさん。 南蛮貿易&出島時代に伝わった長崎ゆかりのものであげてみると、 服に付けるボタンや、水を入れるコップ、雨の日に着るカッパなどがそう。 ボタンはもとはポルトガル語Botao(ボタン)で、日本語では釦、鈕という文字が当てられています。 ボタンはもともと日本の衣服にはなかったもの。 ですから音読みでそのまま取り入れるしかなかったようです。 コップはその昔、ポルトガル船が来航した時に日本へ運ばれて来ました。 ポルトガル語ではCopo(コッポ)ですが、私たちが言うコップは、オランダ語のKop(コップ)から来たものらしい。 江戸後期の蘭学者で長崎に遊学したこともある大槻玄沢は、 オランダ製のガラスの盃(さかずき)をコップというとして、 『コップというはもと茶碗の如きものをいうなり…』と記しているそうです。 蘭学者をはじめとする当時のオランダかぶれの皆さんは、得意げにコップでブドウ酒を飲んでいたとか。 ( ̄∇ ̄)_∀ シミルナァ~▲コップはオランダ語から? おきゃんで、そそっかしい女の子のふるまいをいうお転婆(オテンバ)という言葉も、 オランダ語Ontembaarから来たという説があります。オランダ語では“制御できない、屈服しない、野生の”という意味。 その意味からしてもオランダ語源説は有力かもしれません。 お店の売り出しの時よく使われるバザールという言葉、もとは市場を意味するペルシア語ですが、 日本へはポルトガル人またはオランダ人が伝えた思われ、17世紀の出島で、すでに表記されていました。 当時の年表に記されたその文字は『ラク・バザル』(Lak Bazar)。直訳すると 漆(うるし)市場のことですが、 実際は出島内に設けられた『伊万里陶磁店』のことだそうです。 それにしても当時もいろいろあった外来語。人々はどんな気持ちで受け入れていたのでしょうね。 (^。^゛結構、楽シンデタカモネ▲「日本の想い出・出島の大通り」バザールで売られた日本の陶器(右下)(リンデン刊/長崎市立博物館蔵)※参考にした本/「ながさきことはじめ」(長崎文献社編)「長崎舶来言葉」(入江一郎著 長崎文献社発行)
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