第107号【キリシタンの島・黒島へ】

 長崎県はキリシタンの里。 県内各地に戦国時代から江戸時代にかけて迫害を逃れた信者たちが密かに暮らした集落があります。 今回、ご紹介する佐世保・黒島もそのひとつ。信仰とともにある、静かで美しい島を巡ります。


 長崎県佐世保市の相浦港からフェリーで約50分。 黒島は西海国立公園九十九島を構成する170余りある島のひとつで、 海路は風光明美な西海の島々の景色を楽しみながら行くことができます。 緑に覆われた黒島が前方に見えて来ました。その昔、海から見ると生い茂った樹木のせいで、 島が真っ黒に見えることから「黒島」と呼ばれるようになったとか。豊かな自然は今も変わらないようです。 ( ’∇ ’)ビューティフル・アイランド!



▲海から見た緑豊かな「黒島」


 黒島は周囲12.5km、面積5.37km2の小さな島。 現在、約770人が暮らしていて、その約8割がカトリック信者だといわれています。


島の中心部に建つ「黒島天主堂」(国重要文化財)へ行ってみました。 素朴な中に神々しさを感じるこの天主堂は全国で17棟しかないといわれるレンガ造りの天主堂のひとつ (ちなみに17棟内、16棟は長崎県にあります)。 キリスト教解禁後の明治33~35年にかけて創建されたもので、 美しいステンドグラスや祭壇の床に施された有田焼のタイル、フランス製の聖鐘などが、 当時のまま備えられていました。



▲黒島天主堂(国重要文化財)


 ステンドグラスの窓を開け放した教会内の空気はとても爽やかで、 信者の方々の日頃の掃除・手入れが行き届いているのが分かります。 ミサは日曜日だけでなく、毎朝6時からも行われていて、 熱心な信者の方々が島のあちこちから通って来るそうです。 ( ’_ ’)祈リノ島デス


 車もめったに出会わない静かなこの島をひととおり巡っていて、気づく事がありました。 民家が島内のあちこちにポツン、ポツンと点在しているのです。


しかも生い茂る樹木に覆い隠されるようにヒッソリと。 島の人の話によると、これはかつて潜伏キリシタンとして密かに信仰を続けた先祖たちの知恵で、 それぞれが目立たぬよう離れて暮らしていた名残りだということでした。


 黒島には天主堂の他にも見所があります。島の北部の海岸にある県の天然記念物「串ノ浜岩脈」です。 800万年前の地殻変動によって地下のマグマが地表の岩盤のさけ目に入り込んで冷え固まったもので、 地球の大きな活動を感じる、ダイナミックな地質の姿を見ることができます。



▲串の浜岩脈(長崎県天然記念物)


 この他、島内には手付かずの自然林や、黒島特産のミカゲ石の産出場などもあります。 街中の観光地とは違った素朴な風情が魅力の黒島。今度はゆっくり訪れようと思います。 (・▽・)/黒島デ、ノンビリシマショウ!

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