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  • 第670号【令和7年長崎くんちと幔幕の家紋】

     朝からシャギリの音色が長崎のまちに響き渡っています。きょうは、秋の大祭、「長崎くんち」の中日(なかび)。長崎市中心部には大勢の人々が繰り出して、くんちを楽しんでいます。  昨日は、「お下り」が行われ、諏訪神社からお旅所まで、諏訪・住吉・森崎の三基の御神輿の行列がまちを練り歩きました。沿道に詰めかけた大勢の人々の顔ぶれを見ると、高齢の方々がとても多い。いつだったか、地元の女性(当時85才)が、「私らが子どもの頃、くんちの日は、朝から小豆ご飯、お煮しめ、ざくろなますといったごちそうが出る。学校は午後から休みで、家に帰ると、新調した洋服を着せてもらって、まちに出るのさ。うれしかったね。いまでも、くんちがはじまると、その頃と同じようにワクワクする」と話していたのを思い出しました。  9月下旬まで、気温は連日30度を超えていましたが、10月に入るとさすがに過ごしやすくなってきました。とはいえ、30度に達する日もあり、残暑と秋のせめぎあいはまだ終わっていないようです。猛烈な暑さに見舞われたこの夏、長崎くんちの踊町(新橋町、諏訪町、新大工町、榎津町、西古川町、賑町)の方々の準備は本当にたいへんだったことでしょう。本番を間近に控えた10月3日には、使用する衣装や道具などを披露する「庭見世(にわみせ)」、続く4日には、踊町の演し物の仕上がりを町内の人に披露する「人数揃い(にぞろい)」が行われました。  両日とも雨に見舞われましたが、夕刻からはじまる庭見世のときは、雨が小康状態になり、傘をさしながらも大勢の見物客で賑わいました。「人数揃い」も、午後には雨があがり、本番に先駆けてすばらしい演し物が披露されていました。  さて、「長崎くんち」の期間中、踊町の家々や店舗の入り口には、家紋を染め抜いた幔幕(まんまく)が張られます。家紋の意味を知ると、くんち見物でまちに出たとき、ちょっとした楽しみが増えます。幔幕の家紋をいくつかご紹介します。  梅の花をモチーフにした「丸に梅鉢」。梅は、春のおとずれを告げる花。学問の神様、菅原道真が梅を好んだことに由来し、学業成就の願いが込められた紋です。蔦(つた)の葉をモチーフにした「丸に蔦」。蔦は繁殖力が強い植物。子孫繁栄の願いが込められています。矢をデザインした「丸に違い矢」。矢を用いた紋には、尚武的な意味合いがあるそうです。あおぐことで風を起こす扇をデザインした「三つ扇」。折りたたまれた扇を開くと、縁起のいい末広がりの形に。子孫繁栄の願いも表します。  日本の家紋の種類は、一説には2万以上もあるとか。そのモチーフになるのは、天文、植物、器材、建造物、文字などで、どれも簡潔で美しい図柄にデザインされています。家紋は戦国時代、あるいはもっと前から伝わるものもありますが、明治以降、国民全てが苗字を名のることができるようになったとき、家紋も自由に使用されたことで、その数がぐんと増えたそうです。いずれにしても、家紋を通して、ご先祖様の思いを知ることができます。秋の夜長、我が家の家紋について調べてみませんか?  ◎参考にした本『正しい紋帖』(古沢恒敏 編/金園社)        『日本の家紋大辞典』(森本勇矢 著/日本実業出版社)

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  • お客様の声

    義理のお母さんの帰省時にリクエストして買ってきてもらいました。スーパーで売っているちゃんぽんよりも具沢山で麺がもちもちしているので大好きです。スープも強すぎず、ゴクゴク飲めてしまうくらい、まろやかでお気に入りです。神奈川県 K・E様

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  • 第669号【長崎9月の花と月】

     サルスベリが気温30℃を超える猛暑のなか、元気に花を咲かせています。9月も中旬に入りましたが、この先1週間は、30℃以上の厳しい暑さが続くという予報です。それでも、季節は確実にすすんでいて、夜には秋の虫の鳴き声が聞こえ、風もひんやりとしたものが混じるようになりました。空を見上げれば、夏雲と秋雲が拮抗。ささやかでも、秋の気配を感じると安堵しますね。  中島川で、この暑さのなか、大いに繁殖している花がありました。キキョウに似た青紫色の花で「ヤナギバルイラソウ(柳葉ルイラ草)」という植物です。メキシコ原産の帰化植物で、名は、細長い葉の形が柳の葉に似ていることに由来。「ルイラ」は学名の「Ruellia(ルイラ属)」からきているそうです。可憐な見た目ですが、地域によっては駆除の対象になるほど繁殖力が強い植物。気付けば、側溝やアスファルトの割れ目、ブロック塀の根元などそこかしこで花を咲かせていました。  さて、屋外の厳しい環境のなかでたくましく花を咲かせる植物がいる一方で、人間に大切に育てられて魅力的な花を咲かせるものもいます。長崎県庁のロビーで地元の花農家の方々が栽培した菊が展示されていました。菊といえば、仏花のイメージが強いのですが、そこにあった菊は、どれも個性的な魅力を放ち、お祝いの花束や華やかな催しの花活けにも合うような美しさでした。ちなみに長崎県の菊は、全国5位の産出量。若手の花農家の方々が、がんばっているそうです。  菊(栽培種)は、奈良時代に大陸から渡ってきた植物です。優れた薬効があり不老長寿のシンボルとされていました。同じく中国に起源を持つ9月9日の「重陽(ちょうよう)の節句」は、「菊の節句」とも呼ばれ、不老長寿を願って菊の花を浮かべた「菊酒」を飲む風習があります。また、江戸時代に菊の栽培が流行った時期には、新しい品種を作り、その姿形を競い合ったそう。菊のシーズンである秋は、鉢植えや形造りの菊を並べた「菊見の会」があちらこちらで催されました。現代にも引き継がれている光景です。  さて、話題は「菊」から、「月」へ。9月8日の皆既月食はご覧になられましたか?皆既月食とは、太陽と地球と月が一直線に並び、満月が地球の影に完全に覆われてしまう現象のことです。今回、日本で見られたのは、およそ3年ぶり。その日の長崎の夜空は曇りがちで、わずかな雲の切れ間に期待して待っていましたが、睡魔には勝てませんでした。画像は月が欠けはじめる前の満月と、欠けはじめて30分ほど経ったとき(午前2時頃)の部分月食です。次に日本で見られる皆既月食は、意外にもすぐで、来年3月3日。壮大な天体ショーは、いい気分転換になります。どうぞ、お楽しみに。  おまけ画像です。虫食いの跡が笑顔に見えるサクラの枯葉を、散歩中に偶然、見つけました。小さなハッピーのおすそ分け。  ◎参考にした本 「ビジュアル・ワイド 江戸時代館」(小学館)

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  • お客様の声

    長崎の知人宅で食べておいしさにびっくり空港で売っているというので買い求めました。自宅でこんなに簡単に調理できると知って驚きです。我が家で作ると野菜嫌いの子どもも食の細い高齢の母も完食でした。おいしかった~!!!常温で保存できる点がすばらしいです大阪府 K・T様長崎の義母が送ってくれました。家庭でも手軽に本格的なちゃんぽんが楽しめて嬉しいです。具もついているので冷蔵庫になにもないときにも重宝します。キャベツやもやしでボリュームUPして出すと主人も喜びます!大阪府 M・N様

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  • 第668号【記憶と記録に残る2025年夏】

     線状降水帯の発生で大雨の被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げます。一日も早くふだんの暮らしにもどれることをお祈りいたします。  晴天の日が多かった7月は、全国的に30℃越えの気温が続きました。8月に入り、40℃に達したところが各地で相次ぐなか、8月5日には群馬県伊勢崎で41.6℃を記録、国内観測史上最高気温が更新されました。全国高校野球選手権大会では暑さ対策のために、史上初のナイター開幕戦に。今年の暑さは多方面で記録にも記憶にも残る夏になりそうです。  長崎県でも先月からの晴天が続いていましたが、立秋(8/7)の頃から天気がぐずつきはじめました。そして、あちらこちらで被害をもたらす激しい大雨に。天気の変化はめまぐるしく、今週後半からは、ふたたび晴れ間が広がり猛烈な暑さがやってくるという予報。引き続き、暑さや台風・大雨時の対策を万全にしておきたいものです。  さて、今週はお盆休みなどで、久しぶりにふるさとに帰省している方もいらっしゃることでしょう。懐かしい顔ぶれが揃うとき、昭和の時代の長崎では、皿うどんや煮しめ料理などを大皿で出して、もてなすのが定番でした。いまでは、食生活の環境が大きく変わり、外食の機会も増えていますが、集いのテーブルには、皿うどんが欠かせないという方は、変わりなく多いようです。  お盆の時期になると、祖母世代の方が、「盆団子(ぼんだんご)」を作るというご家庭がありました。80代後半の女性の話によると、「昔は、うるち米ともち米を洗って干した後、石臼で挽いて粉を準備してから団子を作っていた」とのこと。このような米粉で作るまんじゅうは、地域によっては、「けいらんまんじゅう」とも呼ばれ、かつて農村などでは、春から夏にかけて、折にふれ作られていたそうです。中に包む「あん」も小豆だけでなく、そらまめを甘く煮たものもありました。  猛暑の季節の食のエピソードで思い出すのは、「ジャガイモの団子汁」にまつわる故・越中哲也先生(長崎の郷土史家)のお話です。「子どもの頃、夏場にジャガイモの団子汁が出されることがありましてね。正座をして、汗をいっぱいかきながら熱いお汁をいただかなければならず、子ども心に、これは苦行だと思ったんです」と苦笑しながら語っておられました。しつけが厳しいお母様の目があったので、一生懸命食べたそうです。ちなみに、越中先生の「ジャガイモの団子汁」には、「えびざっこ」と呼ばれた茂木産の芝えびと、きゅうりも入っていたようです。  夏場の汁物といえば、「冬瓜(とうがん)」のお汁(つゆ)がおすすめです。ウリ科の野菜である冬瓜は、夏野菜ですが、冬まで保存が効くことからその名がついたとか。ラグビーボールを思わせる姿形ですが、地元では、4分の1くらいにカットされて店頭に並ぶことが多いです。主な栄養素はビタミンCとカリウム。すぐれた利尿作用があり、体にこもった熱を冷ましてくれます。鶏肉のあっさりとした出汁でほどよく煮えた冬瓜は、とろりとした舌触り。冷めてもおいしいです。  ようやく雨が止み、中島川沿いへ散歩に出ると、アオサギの幼鳥がいました。アオサギの卵は5月初旬に孵化するそうで、それから2年くらいかけて成鳥になるとか。細い体で、浅瀬に立っていた幼いアオサギは、成鳥と同じようにじっと構えて川魚の動きに狙いを定めていました。   季節の食を楽しみ、いつものように散歩に出る。そんな日々の平穏な光景から視野を広げて世界の情勢を見ると、いまも戦争や紛争に翻弄される人々が大勢います。この現実に、『平穏な日常は、奇跡なのだ』という言葉が胸に迫ります。戦後80年目を迎えた夏。あなたは、どんなことに思いをめぐらせましたか。

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  • 第667号【癒しの唐比ハス園へ】

     長崎県を含む九州北部地方の梅雨明けは、6月27日。梅雨入りは6月8日だったので、雨の季節は、わずか20日間でした。梅雨明け後は、夏空が広がり気温30度超えの真夏日が続いています。今年も全国的に厳しい暑さになるようですね。とにかく無理をせず、いつも以上に身体をいたわって過ごしたいものです。 暑さを忘れるほどの心安らぐ景色を求めて、唐比ハス園(諫早市森山町唐比西)へ行ってきました。諫早駅から「唐比車庫」行きの県営バスに乗って約35分。「水晶観音前」バス停下車。徒歩5分で、唐比湿地帯の一角に整備された唐比ハス園が見えてきます。 ハス園の広さは約2ヘクタール。ウッドデッキの通路を気持ち良く歩きながら10種類ほどのハスやスイレンの花を楽しみました。見頃は6月下旬から7月上旬だそうですが、8月に入ってから咲くタイプもあるとか。もうしばらく花を楽しめそうです。ところで、このハス園は、地元グループ「唐比すいれんの会」によって管理されています。ハス園の入り口に、唐比湿地帯の自然とハス園を守るための協力金を入れる黄色いポストがありました。感謝の気持ちを込めて200円。これからもこのハス園を楽しめますように。  ハス園を擁した唐比湿地帯の南側は、橘湾に面しています。もともとこの地は、海水の入る入江だったのが、約4000年前に淡水の湿地に変わったことが地層の調査でわかっています。地表から深さ11メートルくらいまでは、泥炭とよばれる地層が重なっているそうです。東側を望むと愛野展望台がある100メートルほど切り立った断崖が見えます。これは島原半島の成り立ちを知る手掛かりのひとつである千々石断層(ちぢわだんそう)です。この断層は唐比湿地帯まで続いています。唐比湿地帯が低地になっているのは、千々石断層の影響で沈み込んでいるからだそうです。  さて、このハス園での楽しみは、美しいハスやスイレンの花だけではありません。園内の用水路やハス池では、メダカやオタマジャクシなど、いろいろな水辺の生きものたちとの出会いもあります。オタマジャクシは、アマガエルのそれより数倍大きかったので、たぶんハス池に生息しているウシガエルの子なのでしょう。  きれいな池や川を好むというシオカラトンボをはじめ数種類のトンボも見かけました。そのなかに、日本でもっとも大きいトンボといわれる「オニヤンマ」によく似た「コオニヤンマ」もいました。小さなオニヤンマを意味するその名の通り、ややこぶりですが、黒と黄色の縞模様は同じで、見分けがつきにくい。明確な違いは、止まり方です。「コオニヤンマ」は胴体を水平にして止まりますが、「オニヤンマ」は枝などにぶらさがるような格好で止まります。 唐比ハス園一帯にはバン、ヒクイナ、セイタカシギなどの水辺の鳥が生息。珍しいヤツガシラが飛来することもあるそうです。今回見かけたのは、ホオジロ。ハス園内の樹木の枝先に止まり、胸を張ってしきりにさえずっていました。これは、繁殖期を迎えたオスの特徴だそうです。  自然豊かな唐比ハス園一帯は、その地形や地層に、ダイナミックな地球の鼓動を感じたり、多種多彩な生きものたちとの出会いを楽しめるネイチャースポットです。この夏、お子さんと一緒に出かけてみませんか。

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  • お客様の声

    作り方が別紙で大きくわかりやすく書かれてあったので、作りやすかったです。スープの味も美味しく、しっかり濃厚なので、野菜などをたっぷり入れてもうすまらず美味しく頂けました広島県 K・M様

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  • 第666号【小屋入りからはじまる長崎の6月】

     6月1日は「小屋入り」。この日、快晴の朝を迎えた長崎のまちでは、シャギリの音色が響き渡りました。「小屋入り」とは、諏訪神社の秋の大祭「長崎くんち」の稽古始めを告げる行事です。演し物を奉納する踊町(おどりちょう)の出演者とその関係者らが、正装してまちを練り歩き、諏訪神社と八坂神社に参拝。大役の無事達成を祈願し、清祓いを受けました。その後、「打ち込み」と呼ばれる挨拶まわりへ。その様子を沿道で見守った長崎っ子たちは、秋の本番に向けて胸を躍らせたのでした。 今年の踊町(おどりちょう)は6カ町。演し物は、西古川町(櫓太鼓・本踊)、新大工町(詩舞、曳壇尻)、諏訪町(龍踊)、榎津町(川船)、賑町(大漁万祝恵美須船)、新橋町(本踊、阿蘭陀万歳)。まちの個性が光る傘鉾もそれぞれ奉納されます。これから夏場の稽古を乗り越えて披露される絢爛豪華な演し物の数々。多くのくんちファンが、踊町の方々の健康と無事達成を祈っているに違いありません。 6月8日、長崎を含む九州北部地方が梅雨入り。街角に咲くアジサイが、行き交う人々の目を和ませています。 雨の季節を代表する花、アジサイは、春のソメイヨシノのように、季節の遅れや進みなど、気象状況の変化を捉えることを目的とした「生物季節観測」の対象植物のひとつです。長崎地方気象台のホームページに、6種目9現象の「生物季節観測値」のデータが掲載されています。  今年、長崎地方気象台が発表したアジサイの開花日は、6月6日。その翌日、南山手にある長崎地方気象台へ足を運び、アジサイの標本木を見てきました。細い枝が伸び放題で、観賞用とはまた違う佇まい。きれいな淡いブルーの花を付けていました。ところで、アジサイは、花びらのように見える部分は、実はガク片だということは、広く知られています。ガク片とは別に、小さく密集しているのが本当の花(真花)です。その小さなツボミが2〜3輪開くと、開花の発表となるそうです。  気象台へ向かう道すがら、同じ南山手にあるグラバー園に寄ってみました。園内の緑はみずみずしい初夏の装い。そのたもとでアジサイが涼しげな表情を見せていました。旧グラバー住宅の前から港を見渡すと、ちょうど大型クルーズ客船「ドリーム」(77,499トン)が長崎港を離れるところでした。 7万トンクラスのこの船でも、その巨大さに圧倒されますが、長崎港には、「クイーン・エリザベス」(90,901トン)や「ダイヤモンド・プリンセス」(115,906トン)、「スペクトラム オブ ザ シーズ」(169,379トン)など、さらに大きな客船も度々入港しています。   ずいぶん前のことになりますが、大型クルーズ客船を停泊していた岸壁から見送った際、巨大な船体に驚いて「女神大橋(長崎港の出入り口に架かる橋)に、船の煙突がぶつかるのでは?」と心配したら、「大きい船は、潮位が低くなる時間帯に出入するから、大丈夫なのよ」と、知人が教えてくれました。何気ない会話でしたが船の姿とともに記憶に残っているのでした。

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  • お客様の声

    いつも美味しくいただいています。パリパリの細麺にたっぷりのあんが絡み、食感の変化も楽しく最後まで飽きずに食べられます。特に野菜や海鮮が豊富で栄養バランスもいいのが魅力ですね。佐賀県 R・K様

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  • 第665号【ながさきの風薫る五月】

     緑の上を渡る風が心地よい季節です。畑の片隅に植えたユズやレモンが、小ぶりの白い花を咲かせています。その香りは控えめながら甘くさわやか。風に溶け込んで辺りに香りを届けていました。初夏めく日差しに誘われて中島川の眼鏡橋まで散策に出ると、観光客の姿はまばら。ゴールデンウィークの賑わいもひと段落ついたようです。  すがすがしい青空が気持ちいいこの時期。見上げれば、めずらしい出来事に遭遇するかもしれません。ゴールデンウィークがはじまったばかりの日曜日。「環水平(かんすいへい)アーク」という現象が南の空に出現していました。  「環水平アーク」とは、空に虹色の光のラインが見える現象です。春から夏(3〜9月)にかけて、太陽が高い位置にある昼前後に出現しやすいと言われています。発生メカニズムは、太陽光が雲の中に含まれる「氷の粒」に当たり、屈折することで起きます。太陽の下の方に水平なラインで出現するので、目撃しやすいです。雨上がりにアーチを描いて現れる「虹」ではないかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、発生メカニズムが違うので区別されます。  また、「環水平アーク」は、雲の一部が虹色に色づいて見える「彩雲(さいうん)」と、見間違えられることがあります。「彩雲」は、太陽周辺の雲に起こる現象なので、別物になります。この日、長崎で見られた「環水平アーク」は、市内のあちらこちらから確認できました。よほど条件が揃っていたのか、1時間ぐらいは消えずに青空を彩っていました。  5月は、自然界が旺盛な生命力を発揮する季節。山の豊かな緑が目を引きますね。長崎の市街地を囲む玉園山(立山)や風頭山、そして稲佐山なども輝くような緑に覆われています。その山々をじっくり見渡すと、クスノキが多いことが分かります。この時期のクスノキは、若葉をたっぷり茂らせ、小さな花を多くつけます。遠目には、明るい黄緑色で、こんもりとした形をしているので、見分けがつきやすいのです。  居留地時代、諏訪神社のある玉園山(立山)に大きなクスノキが数十本も見られたことから、訪れた外国人らが「Mount of Camphor」(クスノキの山)と称えたというエピソードが伝えられています。  関東以西に分布するクスノキは、九州ではよく見かける樹木のひとつです。長崎では、公園などのシンボルツリーや街路樹としてもよく見かけます。また、寺社の御神木となっていることも多いです。樹齢を重ねた幹は、雄大な姿を見せます。長崎県内には、樹齢数百年という大きなクスノキが数多く見られます。県内でもっとも大きいクスノキとされる「大徳寺のクスノキ」(長崎市西小島)は推定樹齢800年です。  クスノキは、葉や材から防虫、除臭、医療品として使われる樟脳がとれることが知られています。18世紀のオランダとの貿易で、日本は出島から銀や銅とともに、樟脳も輸出しています。深掘りすればいろいろ出てくる長崎がらみのクスノキの話。また、いつかご紹介したいと思います。  ◎参考にした本:『長崎県の巨樹・名木』(長崎県樹木医会)、『長崎植物の歴史』(松林文作)

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  • お客様の声

    野菜もたっぷり食べられるちゃんぽんと皿うどんどちらも昔から大好きでした。友人のお土産で貴社の商品を初めていただきました。スープやあんの味が本当においしかったです。さっぱりした中にコクがあり最後までおいしかったです。麺も美味しい!!広島県 T・U様長崎旅行に行かれた方からお土産で頂きました(お土産選びナイス!)第一声は「おいしい(^^)」でした。麺・具材good。特にスープがおいしかったですラーメン食べたらスープ残している私ですが、めずらしく全部スープを飲みほしました富山県 T・T様

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  • 第664号【令和七年ながさきの春色】

     長崎の桜の開花は3月24日でした。その後、厳しい寒の戻りがあったことで、花がずいぶん長持ちしました。開花から2週間以上経ったいまは、花びらが舞い散る様子を楽しんでいるところです。それにしても近頃は、気温の変化が極端です。桜の季節が終わったらじきに夏めいて来るかもしれないので、いまのうちに春らしさを満喫しておこうと思います。  新年度がはじまり、この春から通勤や通学にJRの駅を利用するようになった方が大勢いらっしゃることでしょう。長崎駅界隈でも、やや緊張気味のフレッシュな顔ぶれが行き交っています。彼らは、これからいろいろな出会いや別れを経験するなかで、この駅舎が大切な思い出のひとつになっていくのだと、あらためて思うのでした。  新長崎駅舎が開業したのは5年前の春でした。その後、駅周辺にはホテルや新しい駅ビルが次々に建ち、整備がすすめられてきました。かつて旧駅舎前にあった高架橋広場はすでに撤去され、広いスペースが生まれていますが、この辺りはまだ工事が続いています。公表されている計画によると、多目的広場が設けられる予定です。樹木が植えられ緑を楽しめるエリアになるよう。いまからとても楽しみです。  寒の戻りが解けたあと、街へ散策に出ると小学校の校庭の桜が満開。花の向こうから子供達の楽しそうな声が聞こえてきました。また、中島川沿いの小さな公園では、桜が風にあおられ子供らが宙を舞う花びらをつかもうと、手のひらを広げて走り回っていました。その日の風は思いのほか強く、川沿いの柳の枝もしならせるほど。その枝に生えた若葉がとてもきれいでした。日本の「色」の世界では、やや白みをふくんだやわらかな印象の黄緑色を「柳色(やなぎいろ)」といいます。それは文字通り、柳の若葉の色。「桜色」とともに日本の春を代表する色だそうです。  長崎市役所の19階にある展望フロアにある「屋上庭園」でも素敵な春色との出会いがありました。スミレです。たぶん、庭園の芝生の土にスミレの種がまぎれていたと思われます。このスミレはいわゆるスミレ色(紫)のスミレでしたが、実は、この春、白いスミレとの出会いもありました。ブロック塀と道路との間に咲いていたのですが、真っ白というより、温かみのある乳白色の花びらです。図鑑で調べると、どうやら「アリアケスミレ」という種類に近いよう。ちなみに日本のスミレの種類は約60種類。それらを見分けるのはかなり難しいそうです。   春めく季節はやはり鮮やかな緑色に目が止まります。春野菜が並ぶ店頭で、ひときわ目をひいたのがアスパラガスです。長崎県のアスパラガスは、全国で4位の生産量。江戸時代にオランダ船が運んできたと伝えられる野菜のひとつです。この時期に出回るものは「春アスパラガス」と呼ばれ、色あい、香り、甘みがしっかりしているのが特長です。アスパラガスには、アミノ酸のひとつで疲労回復に効果があるとされるアスパラギン酸が豊富に含まれています。春の疲れに、アスパラガスをどうぞ。

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  • お客様の声

    今回、進物で久々にみろくやさんの皿うどんを頂きました。やっぱりみろくやさん☆最高においしかったです!!外国人の友人にも食べてもらう機会があり、すっかりみろくやさんのファンになりました(^^)12月にまた日本にきます♡長崎県 Y・T様手軽に作れて、野菜も肉も取れて、とても美味しく頂きました。子どもたち(小6・中3)もおいしいとペロリ!是非また食べたいです!!滋賀県 A・M様息子が修学旅行の土産で買ってきてくれました。「具材付」というのに惹かれたとのこと。家族で美味しく頂けました。揚げかまぼこの風味、食感が良く、とろみもあり、優しい味で楽しめました(^^)北海道 M・S様

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  • 第663号【令和七年弥生のあれこれ】

     大雪や山火事など災害に見舞われた地域の方々に、気持ちがほころぶ春が一日も早く訪れることを祈ります。  長崎の3月は、そぼ降る雨ではじまりました。咲いたばかりの菜の花を濡らし、ひととき春のぬくもりを感じさせました。しかし、雨が止むと真冬の寒さに逆戻り。三寒四温で本格的な春は訪れるものですが、今年は寒暖の差が激しすぎる気がします。体調に気を付けて過ごしたいですね。  季節の移り変わり方がいつもとは違うなと感じることが多くなりましたね。それは、花々の開花にも影響を与えているようです。今年はじめ数輪の花を咲かせていた西山神社(長崎市西山本町)のカンザクラ。地元では、旧暦の正月頃に咲くことから「元旦桜」の異名で知られています。今年は長引く寒さで開花が進まず、ひと月遅れの3月はじめに満開を迎えました。「元旦桜」の推定樹齢は126年といわれ、南方系起源の桜として貴重なものだそう。花の表情や色合いにそんなルーツが感じられました。  西山神社では、拝殿の脇に植えられた梅も満開を迎えていました。よく見ると、1本の木から紅白の花が咲いています。こうした咲き方を「源平咲き」といいますが、桃や椿などでも見られることがあります。  中島川の石橋群のひとつ桃渓橋(ももたにばし)のたもとに植えられた数本の桃の木。こちらも開花は例年よりやや遅れ気味のようですが、つぼみはいまにも開きそうでした。和暦を見るとちょうどいまが、七十二候の「桃始笑(ももはじめてさく)」の時期です。それにしても、「咲」を「笑」と表現した昔の人の感性がうらやましい。人の暮らしが自然とともにあったことが伝わってくるようです。  桃渓橋界隈を歩いていると、ハクセキレイ、セグロセキレイ、そしてキセキレイと、続けざまにセキレイの仲間を見かけました。少しあたたかくなると餌を求めて活発に飛び回るのです。ちなみにハクセキレイとセグロハクセキレイは遠目には見分けがつきにくいのですが、目の下から胸元まで黒いのがセグロセキレイです。  春めく動きを見せるのは野鳥たちだけではありません。店頭には旬の食材があれこれ登場しています。鮮魚コーナーの一角では地元産の生ワカメが「新物」の札をかかげていました。塩蔵や乾物で一年を通して常備されるワカメですが、旬(収穫期)は3月から。葉体のやわらかな口当たりと茎部分のコリコリ感は春を告げるおいしさです。   汁物、和え物、サラダなどいろいろ使えるワカメですが、ほかにも意外な食べ方があります。それは、サンドイッチです。作り方は簡単。食パンにマヨネーズを塗り、ワカメをはさむだけ。あっさりとして食べやすい軽食の出来上がりです。ちなみに明日、3月13日は「サンドイッチの日」。旬のワカメでサンドイッチを作ってみませんか。

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  • 第662号【ランタンフェスティバルと冬の野鳥】

     2月に入ってまもなく、列島に居座った今シーズン最強の寒波。雪に慣れた北国の人々も困惑するほどの雪量が引き起こしたさまざまな被害に心がいたみます。復旧が無事にすすみ平穏な日常がいち早く訪れることを祈っています。一方、九州・長崎では、積雪は数センチほどでしたが、身体に堪える冷え込みが続きました。交通面では、長崎市街地の平地を走る路面電車は運行しましたが、一部の道路で路面の凍結による通行止めがあり、通勤や通学、物流などへの影響がありました。また、強い冷え込みが長引いたことで、開催中だった「長崎ランタンフェスティバル」の来場者数も減少するなど、各分野に影響を及ぼしました。  今回の大寒波が訪れる直前の、2月2日(立春の前日)は節分でした。この日の午後は嵐の前の静けさのような穏やかな天候で、夕刻になると人々は役目を終えた正月飾りを携え、神社の鬼火焚きへと足を運んでいました。また、この日は「長崎ランタンフェスティバル」(1/29〜2/12迄開催)の期間中最初の日曜日ということもあり、鬼火焚きのあとランタンに彩られた街なかへ繰り出す人も多かったようです。  「新地中華街・湊公園」へ行ってみると、たいへんな混雑ぶり。毎年のことながら、極彩色の装飾が見事でした。中国の伝説や歴史上の人物をモチーフにしたランタンオブジェは、どれも表情やポーズがほほえましい。地元の人や国内外からの観光客が大勢入り混じるなか、お互いに譲り合いながら、お気に入りのオブジェの前で記念撮影。ランタンの幻想的な灯りのもと、和やかな時間が流れていました。  黄色いランタンが飾られた中島川では、水面が黄金色に輝いてとてもきれいでした。すれ違う人々から聴こえてくるのは、いろいろな言語。その意味はわからなくても、弾んだ声から楽しんでいるのが伝わってきました。見上げると、夜空には細い月と金星。長崎の冬の平和で美しいひとときでした。  今回の大寒波が終わりに近づいた頃、中島川の野鳥の様子を観にいくと、冬鳥のコガモが川面で身を縮めるようにして休んでいました。ハクセキレイやイソヒヨドリは、あたたかな羽毛のコートに身を包み、かわいらしい冬姿に。雪が散らつくなかでしたが、野鳥たちは防寒対策をしっかりして活動していました。  この日は幸運なことに、川べりで餌を探しているウグイスや、野鳥のなかでアイドル級にかわいいと評判のジョウビタキ(メス)にも遭遇しました。春の風物詩であるウグイスの「ホーホケキョ」というさえずり。これは、冬が終わり繁殖期を迎えた雄が、雌を自分の縄張りに呼ぶときの鳴き声だそう。秋・冬は「チャッ、チャッ」と小さく地鳴き。枯れ草の下の虫や種を食べて寒い季節を乗り越えます。   ジョウビタキは川石の上を、ちょこん、ちょこんと飛び跳ねながら餌を求めて移動していました。この鳥は、毎年、秋になると大陸から渡ってくるのですが、その小さな身体で、どうやって大海原を超えるのでしょうね。小さな野鳥たちのたくましい姿に、はげまされた冬のひとときでした。

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