第164号【冬、ますます食べたい長崎名物、角煮まんじゅう】
少しずつ寒さが増してくると、温かい食べ物が恋しくなりますね。今回は身も心もおいしく温めてくれる長崎名物「角煮まんじゅう」をご紹介します。「角煮まんじゅう」とは、豚バラ肉を茹でて角切りにし、こっくり、やわらかく煮込んだ「豚の角煮」を、「中華まんじゅう」にはさんだものです。そのジューシーでとろけるような豚肉と、ほっこりとした中華まんじゅうのハーモニーは、まさに長崎ならではの美味。最近では長崎土産として人気急上昇中ですが、これは長崎の人々が伝統の卓袱料理のメニューの中で、昔からいただいて来たものです。 長崎の料亭などで、卓袱料理を食べた経験のある方はご存じだと思いますが、「豚の角煮」と、具の入っていない「中華まんじゅう」とは、別々の皿に盛られて運ばれて来ます。自分で蒸したての「中華まんじゅう」を開いて、アツアツの角煮をはさみ、好みでカラシを付けていただくのです。ところで長崎では「豚の角煮」を「東坡肉(とうばにく:トンポーロ)」とも呼んでいます。中国の宗の時代の文人である蘇東坡(そ とうば)が、好んだことにちなんで付けられた料理名だそうです。 「豚の角煮」と「東坡肉」。実は同じものではなく、厳密には違いがありました。家庭などで作る「豚の角煮」は、油で揚げることはしませんが「東坡肉」は、豚バラ肉を茹でた後、油で揚げ、さらに蒸すなどして作ります。油で揚げるといい焼き色が付き、中華独特の濃厚な味が増すとか。ちなみに「東坡肉」は醤油や甘味が比較的多く使われる上海料理を代表する料理のひとつです。 その「東坡肉」を中華まんじゅうに前もってはさみ手軽に食べれるようにした「角煮まんじゅう」。主役のお肉は、「東坡肉」本来の方法で作るところもあれば、現代の日本人の口に合うようにと、揚げずに煮込む際に油を加えたり、豚バラから出る油を利用するなど、それぞれ工夫があるようです。 ところで主原料の豚バラ肉は、赤身と脂肪が肉の層を成しているところから三枚肉とも呼ばれています。角煮まんじゅうのお肉にも、その層がはっきり出ていて、口にするとトロリとした食感です。お肌にいいといわれるコラーゲンがたっぷり含まれているので、女性には特にお薦めですよ。 長崎にカステラ屋さんが数多くあるように、角煮まんじゅうもいろいろ。製造元によって微妙に味が違います。まずは当社お薦めの角煮まんじゅうから味わってみませんか?※ 参考にした本「長崎事典~風俗・文化編」長崎文献社、「肉料理」婦人之社編集部
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