第161号【坂の街ならではの工夫。グラバー園への新ルート】

 スロープやエレベーター、床の段差をなくした広いトイレなど、街のあちらこちらでバリヤフリーの工夫を見かけるようになりました。身体の不自由な方はもちろん、全ての人の快適をめざす「バリヤフリー」。今回ご紹介する長崎の人気観光スポット、「グラバー園」への新しいルートも、この考えから生まれたようです。


長崎港を見下ろす南山手にあるグラバー園。丘の斜面を利用した園内には、居留地時代のハイカラな洋館が各所に点在。毎日、全国から大勢の観光客が訪れ、ロマンあふれる異国情緒を楽しんでいます。このグラバー園の入り口は、丘のふもと近くにありますが、石畳の坂と石段を少し登らなければなりません。足腰の弱った方や、車椅子を利用している方にとってはたいへんでした。




 だけど、これからは「グラバースカイロード」を利用すれば安心です。路面電車の石橋電停下車徒歩2分(相生町)。グラバー園へちょうど背後から登るような位置にあるこのロード(道路)、斜面地を文字どおり斜めに移動するタイプのエレベーター(長さ100メートル)で、周辺に住む住民の足として昨年夏から運行しています。ちなみに「グラバースカイロード」の正式名称は「都市計画道路南大浦線」といい、日本で初めて「道路」と位置付けられたエレベータ。まさに坂の街・長崎ならではの新しい「道」なのです。




 グラバー園へは、「グラバースカイロード」を降りてすぐの場所にある普通の垂直エレベータに乗り継ぎます。最上階で降りるとグラバー園のもっとも高い位置に到着。ここに新しく設けられた第二ゲートから入ることになります。従来からの入り口(第一ゲート)に比べ、ゆるやかな下りで、園内全体を巡ることができるので、たいへんラクです。




 グラバー園内には、各所に車イス専用のスロープが設けられ、港の景色もあふれる植物もゆっくり堪能できます。また日本最古の木造洋風建築の旧グラバー邸(国重要文化財)や、日本様式を取り入れてつくった旧ウォーカー邸、南欧風のバンガローが素敵な旧リンガー邸は、車イスでの入室が可能です。当時の暮しぶりをじっくり垣間見れます。




 ところで「グラバースカイロード」は、東山手や長崎港など坂の街のさまざまな表情を見渡せ、夜景もたいへん美しいビュースポットとして注目されています。この秋のあなたのお出かけスポットに、加えてみませんか?



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