第284号【涼感あふれる雲仙深井戸天然水・水まんじゅう】
前回の「長崎アイス」(コラム283号)に引き続き、涼しく健やかに過ごしたいこの季節にぴったりの長崎のおいしいものをご紹介します。その名も「雲仙深井戸天然水・水まんじゅう」。透明のシロップに、ぷるぷるのおまんじゅうを浮かべた涼菓で、10年前の発売以来、味にうるさい甘味ファンの間で支持され続けています。 シロップは、樹木が豊かに生い茂る国立公園・雲仙の麓の深井戸から汲み上げた天然水を使用。ひたひたとシロップごとおまんじゅうをすくって口に入れると、冷んやり、つるりとした心地良い舌触りです。さらりとした甘さで、噛むと、ほどよいもちもち感が楽しめます。おまんじゅうの生地は、身体にうれしい寒天が使用され、生地の中には、これまたヘルシーなこしあん(北海道の小豆・無添加)が入っているのです。 この水まんじゅうを作っている「小浜食糧株式会社」の方においしさの秘密を尋ねると、「やはり、雲仙の深井戸から汲み上げた水の力ではないでしょうか。天然ミネラルが豊富なやわらかな水で、不思議なほど素材のおいしさを引き立てるのです」とのこと。ちなみにこの水は、地元では酒づくりにも使われるほどの名水。「ですから、シロップも残さず召し上がっていただきたいですね」とおっしゃいます。 「雲仙深井戸天然水・水まんじゅう」は、2パック(1パックに水まんじゅう5個入)で525円と、お手頃な価格もうれしい。暑い日の手土産や贈り物としても喜ばれることでしょう。食べ方は、冷蔵庫で普通に冷やしていただきますが、いったん冷凍室で凍らせ、半解凍した状態でいただくのがおいしいという方もいます。お好みの食べ方をぜひ、試してみてください。 ところで、「小浜食糧株式会社」は、主に長崎の観光土産菓子を製造・販売している会社で、創業は、昭和7年(1932)の老舗です。「Bon Patty」(ボン・パティ)の名称で、本社のある雲仙市をはじめ長崎市や大村市など県内各所に店鋪展開しています。長崎を代表する銘菓「クルス」は、つとに有名で、長崎県外の方でも、「シスターのイラストのついたパッケージ」と言えば、「知ってる!」という方も多いことでしょう。他にも、ワッフルやクッキーなどの洋菓子から釜ぶたかぶせ(どら焼き)といった和菓子まで、多彩な品揃えで、お土産品から普段のおやつにと、多くの方々に親しまれています。 本社のある雲仙市小浜町は、島原半島の古くからの湯治場のひとつとして知られる温泉街。この地で、湯治客などを相手に日曜雑貨やお土産品を売る個人商店からスタートしたそうです。その頃、一枚一枚手焼きで売りはじめた「湯せんぺい」は、地元温泉街の名物土産。何と74年のロングセラーなのです。 本社に併設された店鋪には、戦前~戦後の鉄が不足していた時代に、小浜温泉のお土産品として売られていたセルロイドの茶托や、当時、湯せんぺいの缶入りに代わって利用された陶器の容器など、お店の歴史を物語る珍しいものがディスプレイされ、昭和の香りが未だ残る小浜温泉街の見所のひとつになっています。 さて、前述の「クルス」ですが、これも昭和39年(1964)に誕生したロングセラーです。薄く焼いたサクサクの生地にジンジャーのスパイスを配合したホワイトチョコレートをサンドしたお菓子で、その軽い食感は、時代を越えて愛され続けています。実は、長い間、黄色のパッケージで親しまれていましたが、2年ほど前から、白を基調にしたモダンなデザインに変わり、お菓子もより食べやすいサイズになりました。時代に合った衣替えが功を奏し、今、新しい世代のクルスファンも増えているそうです。 地元のおいしい水を活かした「雲仙深井戸天然水・水まんじゅう」をはじめ、南蛮時代に長崎に伝わったキリスト教にちなんで名付けた「クルス」など、おいしい長崎のお菓子を次々に生んできた「小浜食糧株式会社」。「長崎らしさにこだわった商品を通して、お客さまに喜んでいただきたい」という思いが、長く愛される銘菓の誕生につながっているようです。◎ 取材協力:小浜食糧株式会社 長崎県雲仙市小浜町北本町14-15 TEL0957-75-0115
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