第661号【令和7年のお正月】
あけましておめでとうございます。みなさんはどんなお正月を過ごされましたか?長崎の三が日は、穏やかな晴れ間が広がり、市中心部は初詣や初売りに繰り出す人々で賑わっていました。季語をまとめ記した『日本大歳時記 新年』(講談社版・昭和56年刊)のページをめくると、「初夢」、「書初め」、「初稽古」など、新年を迎えて初めてするあれこれの言葉が並ぶなか、「初電話」や「初写真」といった、昭和の時代とは状況や意味合いが変化したものもいろいろありました。ちなみに当コラムの「初写真」は、メジロがビワの花蜜を吸う元日の朝の光景です。 日本一の生産量を誇る長崎のビワ。地元では庭や畑の片隅に植えている家も多いです。果実の旬は初夏で、「ビワ」は夏の季語ですが、その半年ほど前に咲く「ビワの花」は冬の季語です。明るい印象の果実と比べると、枝先に密集して咲く白くて小さいビワの花は控えめな感じ。鼻を近づけるとやさしい芳香がします。そんなビワの花蜜を堪能したメジロは、隣に植えてあるスモモの枝の新芽も次々についばみました。花蜜を好むメジロは、ウメやサクラの花の時期もよく見かけます。ウメ、サクラ、ビワ、スモモは、すべてバラ科の植物。いい香りに誘われるのでしょうか。 さて、新年といえば、初詣。長崎や福岡など、九州の一部の地域には、「三社参り」といって、初詣に三つの神社を詣でる風習が残っています。徒歩圏内の神社をめぐる人もいれば、地元の神社のほか、隣町や隣県の神社に詣でる人も。また、「三社参り」の風習は知らなくても、複数の神社を詣でる人は少なくないように見受けられます。 今年は、諏訪神社(長崎市上西山町)への初詣の際、拝殿の右手奥にある玉園稲荷神社へも足を運びました。稲荷神社は五穀豊穣、商売繁昌、家内安全などにご利益があるとされています。玉園稲荷神社は、朱色の鳥居をいくつもくぐり抜けた先にあり、拝殿の前に、大きなクスノキが鎮座していました。これは「抱き大楠(いだきおおくす)」と呼ばれる御神木。両腕を大きく広げて抱くと、元気を授かったような気分になりました。 諏訪神社の境内をひと巡りした後、徒歩15分ほど離れた場所にある西山神社(長崎市西山本町)へ向かいました。ここには例年お正月に見頃を迎える「元日桜」と呼ばれる寒桜が知られています。明治30年(1897)1月に植樹されたということですから、樹齢120年以上の古木桜です。今年は、開花が遅れているようで、花はほんの数輪。見頃は来週以降になりそうです。 さて、今年、諏訪神社へ初詣の際、最寄りの「諏訪神社電停」に変化があったことに気付いた方も多いかもしれません。渋滞緩和とバリアフリー化のために、先月から、電停の位置が45メートルほど螢茶屋方面に移設。それまで地下道の階段を上り下りしなければ利用できなかったのが、横断歩道からスムーズに行けるようになりました。今年もこうした街の変化があちらこちらで見られることでしょう。 ◎本年も、ちゃんぽんブログをよろしくお願い申し上げます
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