第660号【2024師走 時代の曲がり角を行く】

 今月3日、今年最後の三日月が、夕焼けの空に浮かんでいました。時代の喧騒など、どこ吹く風の美しい景色です。ふりかえればこの一年、過ぎ去るのがとても早かったと感じている方が多いのではないでしょうか。大人になると月日の経つのが早いとはいうものの、今年はいろいろな出来事が次々に起こり、めまぐるしい日々でした。時代の曲がり角というのは、こういうものなのかもしれません。


 


 12月に入り、長崎もようやく冬らしい寒さを感じられるようになりました。急な冷え込みで背中を丸めて歩いていると、川べりで同じように身体を丸くしたイソヒヨドリ(メス)を発見。強気の表情で寒さをしのぐ姿がかわいらしかったです。また、冬になると気になるのが、中島川へ渡って来るカイツブリです。いまのところ未確認ですが、もうしばらく飛来を期待したいと思います。そして、先月コラムにも登場したカワセミですが、今月も中島川にかかる編笠橋と大井手橋の間で見かけました。中島川で、カワセミをよく見かけるエリアは、光永寺そばにかかる古町橋から、上流の桃渓橋界隈にかけて。青空が広がる穏やかな日中、餌を求めて活動的になるようです。



 

 さて、クリスマスシーズンのいま、長崎の観光スポットは華やかで温かなイルミネーションのきらめきに包まれています。幕末の居留地時代に建造された大浦天主堂(1864年竣工)と隣接する旧長崎大司教館(1915竣工)は、やさしく厳かな光に彩られていました。そして同じエリアにあるグラバー園も、ノスタルジックな美しい光の演出がほどこされていました。



 

 洋館や石畳など、幕末から明治にかけての長崎の歴史の息吹を感じることができるグラバー園。今年、開園50周年を迎えたことを記念して「マダム・バタフライ」をテーマにした光の演出が各所で繰り広げられていました。園内の高台へ導く「動く歩道」は、まるでタイムリープトンネルのような幻想的な光を放ちながら幕末・明治へと誘います。降り立つと、明治期に建てられた洋館、「旧三菱第二ドッグハウス」。その明るいベージュの外観をスクリーンにして、「ハローキティとマジカルバタフライ」のプロジェクションマッピングが行われていました。(19時〜20時の間。令和73月末迄)




 思えば、幕末〜明治もまた大きな時代の曲がり角でありました。『ざんぎり頭を叩いてみれば文明開化の音がする』。明治初期の時代をあらわす有名な文句ですね。長く続いた武士の時代の象徴でもあるちょんまげを切り落とした人は、文明開化という新しい時代の波に乗っているというのですが、当時は、ちょんまげにこだわって、切り落とさなかった人も多かったとか。何だかいまにも通じるエピソードですね。

 

 さて、長崎のまちで新時代のまちづくりの象徴的な存在ともいえるもののひとつが「長崎スタジアムシティ」です。秋の開業以来、街を行き交う人々の数が増え、スタジアム周辺に賑わいのルートが生まれるなどの変化が起きています。日が暮れてから出かけると、サッカースタジアムではクリスマスソングとともに素敵なレーザーショーが行われていました。親しみや愉しさとともに、明るい新時代を見せてくれる「長崎スタジアムシティ」。来年も大きな歓声に包まれることでしょう。


本年もご愛読いただき誠にありがとうございました。




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