第658号【展開する2024年秋】

 長崎港に寄港する国際クルーズ船。コロナ禍を経て、すっかり日常的な光景になりました。ようやく夏が過ぎ、催しや観光などを満喫できる季節が到来しましたが、いつもの秋より気温が高く、蒸し暑いのが気になるところ。クルーズ船から降り立つ外国人の姿もまだ夏の装いです。長崎では、9月に真夏日が続いたせいか、毎年お彼岸前から咲きはじめたヒガンバナがめずらしく遅れ、10月に入ってから見頃を迎えています。天気予報によると九州では、もうしばらく夏日(2529℃)が続くそう。ですが、急に涼しくなる日もあるので体調に気を付けたいですね。





 

 この10月、長崎は新時代への展開を明確に感じさせる大きな節目を迎えます。「長崎スタジアムシティ」(長崎市幸町)の開業です。サッカースタジアムやアリーナ、ホテル、オフィスビル、ショッピングモールが揃った複合施設で、「ジャパネットホールディングス」という民間の会社が主体となって進めた開発プロジェクトです。開業を受けて、最寄りの電停とバス停が今月から名称を変更。電停は「銭座町(ぜんざまち)」が「スタジアムシティノース」、「宝町」が「スタジアムシティサウス」に。バス停は、「銭座町」が「銭座町 長崎スタジアムシティ」、「幸町」が「幸町 長崎スタジアムシティ」に。今月に入ってから、すでに人の流れに変化が見られます。長崎のまちの在り方にも大きな影響を与えそうです。





 

 まちが新しい展開を迎える一方で、伝統の祭りで賑わう姿も長崎の変わらぬ魅力のひとつです。103日の「庭見世(にわみせ)」を皮切りに「長崎くんち」関連の行事が続いて市街地は連日賑わっています。「庭見世」とは、107日からはじまる「長崎くんち」本番を前に、演し物を奉納する踊町(おどりちょう)の家々や店舗などで、傘鉾をはじめ衣装、小道具、贈られたお祝いの品々を披露するもの。今年は、7つの踊町(興善町、八幡町、万才町、西浜町、麹屋町、銀屋町、五嶋町)の「庭見世」めぐりを楽しみました。





 

 夕刻にはじまる「庭見世」。お祭り独特の混雑のなか、道をゆずりあってそぞろ歩く見物客たち。思いのほか高齢の方々の姿が目立ち、家の軒先に椅子を出して道行く人を眺めている人も。たまたま隣り合わせた80代の女性が、「庭見世の雰囲気は、昔と変わらんね」「子どもの頃は、くんちになると新調した服を着せてもらうのがうれしかった」などと話してくれました。

 

 「長崎くんち」の間、お祭り気分を盛り上げるもののひとつが、家紋やシンボルマークなどを染め抜いた幔幕(まんまく)です。踊町をはじめ市中心部の家々や店舗、公共施設などが入り口に張って「長崎くんち」を応援します。いろいろな日本の家紋を見ることができて面白いという人もいます。





 

 ということで、本日109日は、「長崎くんち」の後日(あとび)です。午後1時から神輿(みこし)がお旅所から諏訪神社にもどる「お上り」が予定されています。市中心部を練り歩き、各所で演し物を披露してきた踊町は、最後の力をふりしぼります。期間中、「モッテコーイ」「ヨイヤー」といった掛け声があちらこちらから聞こえてきましたが、なかでも長崎駅そばの「かもめ広場」はたいへんな人集り。麹屋町の川船と鮮やかな水色の衣装を着た根曳衆らが、大きな歓声を浴びていました。





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