第626号【中島川にかわいい新入りカイツブリ】

 春節(旧暦の元旦)を祝って華やかな催しが行われてきた「長崎ランタンフェスティバル」。新型コロナ感染拡大の影響で今年も中止になりましたが、春節の期間中(今年は21日〜15日迄)、新地中華街や浜町、中島川などの長崎市中心部では、新型コロナの収束と市民を応援する思いを託した希望の灯として提灯(ランタン)のみの装飾が行われています。来年こそは、たくさんの人々が笑顔でランタンを見上げて歩くことができますように。



 

 何かと縮こまりがちな季節ではありますが、この冬、中島川ではかわいい水鳥やってきて、明るい話題を提供しています。全長約26センチ。小さくて丸い身体つきが愛らしいカイツブリです。ガイドブックによると、全国各地の河川や湖沼に生息している水鳥なのですが、中島川でカイツブリを見かけたのは今回が初めて。冬になると北にいたものが暖地へ移動するそうなので、その流れで渡ってきたのでしょう。


 


 中島川でカイツブリを確認するようになったのは昨年11月末。このときは少なくとも56羽はいて、列をなして泳いでいたので、カモの子どもだろうと思っていました。12週間後に確認したときは、3羽に減っていました。この水鳥がカイツブリだとわかったのは、1月下旬のこと。石橋のたもとで水鳥をいっしょに見ていた地元の方が、「小さいけれど、親鳥だよ。この前、新聞にも載っていた。カモとは別の種類のカイツブリっていう鳥らしい…」。

 

 地元紙でも紹介されていた中島川の「カイツブリ」。界隈では、その存在に気付いていた人は多かったようです。最初に見かけたときより数が減っていたのは、推測ですが、渡りの途中で休憩のために中島川に立ち寄った際、この3羽だけがそのまま残ったのかもしれません。


 


 カイツブリは別名を「鳰(にお)」といいます。昔から日本人に親しまれてきた水鳥で、琵琶湖の古名「鳰の海」は、カイツブリが多くいたことにちなんだものだそう。その巣は、水草を集めて作る浮巣で、水位の状況に応じて上下します。そんなことから、不安定なもののたとえとして、『鳰の浮巣』という言葉が使われます。

 



 カイツブリは、潜水が上手な水鳥です。脚がお尻の方に付いていて、脚指には弁状のヒレがあります。小ぶりな身体つきとその脚が潜水に適していて、一度潜ると十数秒は水の中をびゅんびゅん泳ぎ回ります。水面に上がってきたとき、川魚をくわえている場面を何度も目撃しました。





 

 カイツブリが水面をスイスイすすむときの泳跡の広がりや一カ所にとどまっているときの水の輪もきれいで、観察していて飽きません。現在は、冬羽の姿で薄茶とグレー系の羽に包まれていますが、暖かくなってくると、頬から首にかけて赤褐色、頭は黒褐色の夏羽になるそう。春が来てまた北へ帰る頃、夏羽の姿を見られるかもしれません。中島川に集う青サギや白サギなどとともに、静かに見守りたいものです。





検索