第625号【2022年初春 水仙と恐竜博物館】

 寒中お見舞い申し上げます。この年末年始、東日本各地では大雪に見舞われるなど厳しい寒さの日が多かったようですが、西日本ではおおむね暖冬傾向の穏やかな天気に恵まれました。とはいえ、一年でもっとも寒さが厳しくなるのは、これからです。みなさん、体調に十分気を付けてお過ごしください。

 

 新しい年のはじめにふさわしい、すがすがしい画像をお届けしようと、長崎市で水仙の名所として知られる野母崎地区の「水仙の丘」へ出かけてきました。野母崎地区は、長崎市中心部から南西にのびる長崎半島の先端に位置するまち。自然豊かで温暖な地域として知られています。



 

 長崎市街地から、路線バスで長崎半島の西海岸をひたすら南へくだること約50分。「水仙の丘」は、沖合に軍艦島をのぞむ海岸沿いにありました。丘の斜面を埋め尽くすように植えられた水仙の数はおよそ1000万本。潮の香と甘い水仙の芳香があたりを包み、すがすがしい光景が広がっていました。



 

 水仙の種類は、古くから日本で親しまれてきたニホンズイセン。シンプルな姿の中に、凛とした美しさがあります。写真を撮りながら「水仙の丘」をめぐっていると、花の手入れをされている方に出会いました。その方によると、野母崎の水仙は花付きが良く、丈があり葉の色も濃いため、華道家の方々に一目置かれているとのこと。手入れのコツのひとつは、花が終わったあと球根を十分に休ませること。そうして大きくなった球根は、再び美しい花を咲かせるそうです。

 



 水仙群のところどころで、ハマアザミも見かけました。夏から冬にかけて海浜に咲くアザミの一種で、葉が厚く光沢があるのが特徴です。ちなみに、葉や根は、山菜として食用も可能だそう。ゴボウのような形をした根は、「ハマゴボウ」とも呼ばれ、天ぷらなどにするとおいしいそうです。



 

 海側からも山のほうからも野鳥の鳴き声が聞こえてくる「水仙の丘」。展望所から海岸を見下ろすと、岩場で羽を休めているウミウの姿がありました。

 



 毎年、この時期に出かけていた「水仙の丘」ですが、すぐ隣に「長崎市恐竜博物館」がオープン(昨年10月)したことで、いろいろな変化が見られました。最寄りのバス停は「運動公園前」から「恐竜パーク前」に名称が変わり、バスを降りると恐竜の像が迎えてくれました。博物館前には、「こども広場」が設けられ、朝9時の開館前から子どもたちの歓声が飛び交っていました。



 

 水仙をぞんぶんに楽しんだ後、長崎市恐竜博物館へ(新型コロナ感染防止のため、来場の際には予約が必要です)。世界最大級のティラノサウルスの全身骨格レプリカなど複数の大きな全身骨格標本が展示されていて、迫力いっぱい。展示室の海側は、一面ガラス窓になっていて、数々の恐竜の化石が見つかった長崎半島西海岸の三ツ瀬層と呼ばれるとても古い地層の一角を見渡せるようになっていました。生き物の進化や、長崎の自然史に関する展示も豊富で、恐竜好きの人に限らず、多くの人が関心を抱けるテーマが盛りだくさん。長崎市恐竜博物館については、あらためて別の機会にご紹介したいと思います。



 




 ◎本年もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。

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