第609号【見えてきた!長崎の近未来】

 師走も中旬を過ぎた頃から、長崎もようやく冬らしい寒さになってきました。

北陸や関東北部など大雪に見舞われた地域の方々に心を寄せつつ、日々のあれこれをたんたんとこなしながら、できるだけ静かに、やさしい気持ちでコロナ禍の暮れを過ごせたらいいですね。

 

 散歩がてら緑豊かな諏訪の杜へ足を運ぶと、大きな楠の枝にノスリが留まっていました。ノスリはタカ科の漂鳥で、全長約55センチ。フクロウにも似た丸みを帯びた姿をしています。曲がったクチバシと目が、いかにも猛禽類らしい。タカ科ならではの目力で周囲を見渡していました。



 

 ノスリを見かけたのは、かつて長崎県立長崎図書館があった立山の一角。図書館の跡地は、すっかり更地になっていました。来年度末には、「県立長崎図書館郷土資料センター(仮称)」が開館する予定です。



 

 新型コロナ感染症によって世界中がさまざまな変革を求められるなか、はからずも長崎のまちも100年に一度の大きな変化の真っ只中にあります。「県立長崎図書館郷土資料センター(仮称)」以外にも、今後、数年のうちに新時代に向けたさまざまな建造物が完成予定で、まちを歩けば、あちらこちらでタワークレーンを目にします。新しい時代へ進んでいることを実感できる光景です。立山からほど近い長崎市役所新庁舎も再来年の完成に向けて工事が進んでいます。

 



 長崎の新時代を象徴する場所は、やはり長崎駅を中心とした界隈です。2022年には九州新幹線西九州ルートの長崎〜武雄温泉間が開業予定です。新幹線のネットワークにつながることで、新しい交流の広がりが期待されています。それにさきがけて、今年3月には在来線の新しい駅舎が開業しています。

 



 そして、来年111日には、新長崎駅に隣接する場所に、「出島メッセ長崎」がオープンします。大規模な大会や学会を開催できる広さのコンベンションホールをはじめ、会議室、イベント・展示ホール、そして長崎の風景を楽しめるリバーサイドデッキなどを設けた建物です。さまざまな出会いと交流を生み出す拠点になることでしょう。建物は、来年春には完成するそうです。

 



 長崎駅に近い浦上川沿いには、地元長崎のサッカーチーム「V・ファーレン長崎」の本拠地となる「長崎スタジアムシティ」も誕生(2024年予定)します。こちらは、最大23,000席のスタジアムになるとか。本当に待ち遠しい限りです。

 



 このスタジアムや「出島メッセ長崎」などが生まれる浦上川沿いは、原爆投下直後、深い悲しみの光景が広がっていました。その場所が、約80年の時を経て、国内外から大勢の人々が集い、平和の象徴であるスポーツを楽しめる場所に生まれ変わります。この地で生まれるさまざまな感動や絆は、原爆犠牲者の慰霊にもつながると信じたい。

 

 少しずつ形作られていく長崎の近未来。新しいまちで生き生きと過ごすために、いまはエネルギーをチャージするときともいえるかも。元気に弾けるその日まで、希望のわくわくどきどきを大きくふくらませておきたいですね。

 




 

 本年もちゃんぽんコラムをご愛読いただき、誠にありがとうございました。

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