第591号【春を、おいしく、たのしく】

 春キャベツが出回っています。秋冬に採れるものと比べると、巻きがゆるめ。葉肉はやわらかく弾力があります。みずみずしい色合いも食欲をそそります。キャベツは、長崎ちゃんぽんに欠かせない野菜のひとつです。いつもより多めに春キャベツを加えると、器の中がいっきに春めいて気分も上がりますよ。



 

 キャベツは、長崎にゆかりのある野菜です。日本へは、江戸時代にオランダ船が出島に運んできたのが最初といわれています。そのときは食用としては普及せず、もっぱら観賞用だったとか。食用として栽培されはじめたのは、明治に入ってからだそうです。

 

 先日、遊びにきた親戚の子たちのために、春キャベツたっぷりのちゃんぽんを作りました。急だったので、タコ、イカ、エビなどのシーフードはあいにく切らしていたのですが、豚バラ肉、春キャベツ、玉ねぎ、ニンジン、もやし、キクラゲなど、台所にあった食材で対応。ちゃんぽんの具材は、豚肉、キャベツ、玉ねぎさえあれば、あとは柔軟に楽しめるので、とても助かります。おいしいちゃんぽん麺とスープの素を使えば、作るのも簡単。お子さんたちと一緒に「我が家特製春ちゃんぽん」を作ってみませんか。



 

 春のひとときを子供たちと過ごすなら、バードウォッチングもおすすめです。わざわざ遠くの野山に出る必要はありません。近所の住宅街や公園、川沿いなどで、いろいろな野鳥と出会うことができます。

 

 長崎の住宅街などで、ふだん見かけるのはスズメ、メジロ、ヒヨドリ、イソヒヨドリなどの留鳥たちです。花を付けた椿や桜などの枝がゆれていたら、そっと近づいてみましょう。好物の花蜜を求めて花から花へ飛び回るメジロがいるかもしれません。



 

 まるで、おしゃべりでもしているかのように、強弱を付けて長くさえずるのがイソヒヨドリです。聞いているこちらも、「へ〜、そうだったのね」と返事をしたくなります。また、3月に入ってからは、ツバメも飛び交うようになりました。産卵期に向けて巣作りに励んでいるようです。



 

 樹木の多い静かな公園などでは、カワラヒナ、ジョウビタキ、シロハラなどと出会えます。カワラヒナは、スズメよりやや大きく、緑がかった茶色をしています。翼と尾に鮮やかな黄色の斑があるのが特長です。ジョウビタキ、シロハラは、来月あたりロシアや中国大陸へ帰る冬鳥。ジョウビタキは、明るく開けた場所で見かけますが、シロハラは、樹林の暗がりが好みのよう。社寺の境内の片隅でカサコソと落ち葉の上を歩いていたりします。





 

 石橋群で知られる中島川では、キセキレイ、ハクセキレイが縄張り争いをしている様子やシラサギ、マガモが餌取りに夢中になっているところを見かけます。長崎港では、もうすぐユーラシア大陸に帰るホシハジロのツガイの姿もありました。普段は見過ごしがちな身近な野鳥たち。野鳥を見つけるコツは、さえずりをとらえること。耳を澄ませば、ほら、あの枝、あの水辺にいますよ。









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