第588号【長崎稲佐山スロープカー】
立春が過ぎ、日に日に日差しが春めいてきました。長崎のまちは、「2020長崎ランタンフェスティバル」が終わり、ひと息ついているところですが、実は、このランタンフェスティバル開催中の1月31日、長崎の観光にとってうれしいニュースがありました。
それは、「長崎稲佐山スロープカー」の運行開始です。スロープカーとは、斜面走行モノレールのことで、稲佐山の中腹に設けられた「中腹駅」から「山頂駅」までを約8分で結びます。
ところで、稲佐山には、長らく親しまれている「長崎ロープウエィ」があります。こちらは1959年に開業し、1960年代の長崎観光を牽引。いまでは、定番の観光施設となっているこのロープウエィも、もちろん健在です。稲佐山の山頂まで、東側から上るのがロープウエィで、長崎港を中心とした市街地の全景を楽しむことができます。一方、北側から上るスロープカーは、浦上方面や市街地北部の向こうに連なる山々の稜線を望み、途中からは長崎港沖合の軍艦島や伊王島などダイナミックな景観を楽しむことができます。
「長崎稲佐山スロープカー」は、2両連結。車両は、ガラス張りが広くとられ、車内のどの位置にいても外の景色をぞんぶんに楽しめます。スタイリッシュな車両のデザインが、どこか長崎ロープウエィのゴンドラにも通じると思っていたら、やはりゴンドラと同じ世界的工業デザイナー奥山清行氏率いるKEN OKUYMA DESIGNによるものでした。
スロープカーの乗り場となる「中腹駅」は、稲佐山公園の無料駐車場の一角にあります。「中腹駅」から稲佐山の尾根伝いに敷かれた約500メートルのレールは、ゆるやかに蛇行。約8分かけて上り下りします。静かで快適な運行なので、乗り物酔いをすることもありません。
標高333メートルの稲佐山山頂に到着したら、徒歩で展望台へ。港を含む長崎市街地を一望。ロープウエィやスロープカーともまた違った美しい景観が広がります。特に世界新三大夜景(2012年)に選ばれた夜景は格別です。
今回、「長崎稲佐山スロープカー」の登場で、あらためて注目されている稲佐山公園。稲佐山公園は、その広い敷地内に、山頂の「展望台」をはじめ、コンサート会場ともなる「野外ステージ」を擁し、さらに、猿舎、鹿放牧場、ドッグラン、遊具広場、草スキー場広場などもあり市民の憩いの場として利用されてきました。また、4月下旬から5月はじめにかけて、8万本にもおよぶつつじが咲き誇り、毎年「つつじまつり」も開催されています。
スロープカーの営業時間は、午前9時から午後10時まで。料金は一般で往復500円、片道300円。「山頂駅」は、ロープウエィの駅と隣接しているので、上りはスロープカー、下りはロープウエィというふうに、両方を楽しむのもいいかもしれません。