第564号【福を招くチョコとランタンオブジェ】

 今年の「長崎ランタンフェスティバル」は、気のせいか、いつも以上にカップルの姿が目立ちます。開催期間半ばの明日、バレンタインデーを迎えるからでしょうか。そんなホットな賑わいのなか、巷ではチョコレート商戦も花盛り。店頭に並ぶチョコレートは目移りするほど多彩です。好きな人に贈るためだけでなく、話のタネになりそうなチョコレートを選んで、家族や友だちとコーヒータイムを過ごすという方も多いのではないでしょうか。



 

 長崎にちなんだ話のタネになるのが、「皿うどんチョコレート」です。皿うどんの細麺と上質チョコレートというユニークな組み合わせから生まれたスイーツで、細麺の新たな可能性を引き出したサクサクのおいしさです。味にこだわりのある人もきっと満足できるはず。バレンタインデーの贈り物としてはもちろん、ちょっと印象づけたい手土産にもおすすめです。



 

 さて、チョコレートといえば、材料となるカカオ豆に含まれるカカオポリフェノールが、健康や美容に効果があるということで近年あらためて注目されていますね。チョコレートは、その甘い香りをかぐだけでもリラックス効果があり、また記憶力や集中力も高めてもくれるそうです。そんなチョコレートが日本へ伝えられたのは江戸時代の寛政年間(17891801)の頃。外国から長崎に運ばれたのが最初といわれています。

 

 江戸時代、長崎の花街のひとつだった寄合町。当時の「寄合町諸事書上控帳」には、長崎・丸山の遊女が出島の阿蘭陀人からもらい受けたものとして、硝子瓶や紅毛キセルなどとともに「しょくらあと」(チョコレート)が記載されています。これが、日本の史料に記された最初のチョコレートだそうです。当時、出島に出入りした日本人(地役人や遊女など)は、すでにチョコレートの味や香りを知っていたのかもしれませんね。



 

 チョコレートとともにひと息つくときに欠かせないコーヒーも、長崎・出島に伝えられたのが日本で最初といわれています。ちなみにオランダ船が運んできたコーヒーの銘柄はモカだったそう。当時、出島で飲まれた酸味の強いコーヒーについて、長崎奉行所に赴任していた大田南畝(狂歌師・蜀山人)は、「焦げ臭くて味わうに堪えず」という感想を残しています。

 

 さて、友人と「皿うどんチョコレート」でひと息つきながらの話題は、チョコレートやコーヒーの伝来のことから、やがて「長崎ランタンフェスティバル」で飾られているランタンオブジェへと移りました。「どれも、きれいで縁起のいいものばかり」なのです。たとえば、中島川沿いに設置されている金魚のオブジェ。中国では古来、金魚は豊かさと幸運を招くシンボルのひとつなのだそう。また、出島表門橋公園に設けられた「大象寶物」というオブジェは、正装した象が九つの宝物を背に乗せ運ぶ姿をしています。これは、「遠くに住む人々みんながよろこび、象が福を運んでくる」という意味があるそうです。ランタンオブジェには、それぞれ説明がついています。縁起のいいことが書かれているので、読み歩くだけでも、いいことがありそうな気になってきます。

 今年の「長崎ランタンフェスティバル」は、来週219日(火)までです。







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