第563号【もうすぐ長崎ランタンフェスティバル】
北陸から北の日本海側は厳しい寒さが続いていますが、西日本は暖冬傾向。九州・長崎は、大寒の時季にしては比較的あたたかく、日中の日差しには早くも春の気配さえ感じられます。眼鏡橋がかかる中島川では、カワセミ、ハクセキレイ、キセキレイなどの野鳥たちが活発に餌をとる姿が見られ、庭先では早春の花として知られる沈丁花も甘い香りを漂わせはじめました。
二十四節気で大寒の次にくるのが、立春です。今年は新暦で2月4日にあたります。旧暦では、立春にもっとも近い新月の日が新年のはじまりとされ、今年は立春の翌日の2月5日が旧暦の元旦になります。中国ではこの日を「春節」として祝いますが、この行事にちなんだ祭りが、「長崎ランタンフェスティバル」です。
毎年、春節から元宵節(旧暦1月15日)まで開催される「長崎ランタンフェスティバル」(今年は新暦2月5日から2月19日まで)。長崎市中心部で行われるこのお祭りは、年々、装飾や催しなどが充実。いまでは国内外から大勢の人々が集う一大フェスティバルとして知られるようになりました。まちじゅうを埋め尽くすように飾られているのは、中国ランタンや、干支のオブジェ、中国の伝説や歴史にゆかりのある動物や人物のオブジェなどで、夕刻になると目にもあたたかな色とりどりのあかりが灯り、まちは幻想的な雰囲気に包まれます。
朱色のランタンの下でお買い物や食事を楽しめる長崎新地中華街や浜んまち、お月さまのような黄色いランタンがロマンティックな中島川、川面に映る桃色のランタンがきれいな銅座川など、どこを切り取ってもインスタ映えする景色ばかり。ランタンを見上げながら笑顔で行き交う人々から聞こえてくるのは、多国籍の言葉です。それは、異国情緒を謳う長崎らしさを象徴するかのような光景です。年々来場者も増加している「長崎ランタンフェスティバル」は、アジアのお正月を祝う国際的な催しになろうとしているのかもしれません。
「長崎ランタンフェスティバル」は、新地中華街会場をはじめ中央公園会場、唐人屋敷会場、孔子廟会場などまちなかに8カ所の会場を設け、中国雑技や龍踊り、二胡演奏など中国ゆかりの催しを連日行っています。なかでも孔子廟会場では、人気を集めた中国伝統の変面ショーが、今年も毎日披露される予定です(孔子廟会場は、夕方17時以降は入場料無料)。
さて、「長崎ランタンフェスティバル」の最終日となる元宵節(旧暦1月15日)には、中国では「元宵団子」を食べる風習があります。長崎の料理家に教えてもらった元宵団子は、白玉団子を作る要領と同じ。中にこしあんが入っていて、レモン風味のシロップをそそいでいただきます。中国では、新年最初の満月の夜、幸せを願いながら家族揃って食べるとか。そんなことから「元宵(ユワンシャオ)」は「一家団欒」を意味する言葉としても使われているそうです。