第552号【長崎風ゴブサラダ】
連日30度を超える猛暑のなか、きのう立秋を迎えました。夜風に涼しさが感じられ、鈴虫の声も聞こえるように。季節が次へ向かっているのを感じてホッとしますね。とはいえ、日中の暑さはとても厳しい。日々の食事作りも、「暑さで台所に立つのがおっくうなのよ」という声をよく耳にします。そこで、夏の食事作りが楽しくなる「皿うどんサラダ」を使った一品をご紹介します。火や電気の使用は最小限度におさえ、猛暑をのりきるための栄養もしっかりとれる「長崎風ゴブサラダ」です。
「ゴブサラダ」は、ハリウッド発祥といわれるサラダです。ゴブさんという人が、冷蔵庫に残っていた有り合わせの食材で作ったのがきっかけだとか。鶏肉、アボガド、トマト、レタス、チーズ、ベーコン、ゆで卵などを一口大にカットし、トレイにストライプ状に並べるのが本場アメリカでの定番スタイルだそうです。ゴブサラダの具材にこれといった決まりはないそうですが、アボガドは欠かせません。森のバターとも呼ばれるほど栄養価が高いアボガドは、ビタミンやミネラルをバランス良く備えていて、夏場の疲労回復にもいいといわれています。
「長崎風ゴブサラダ」は、サクサクと口当たり軽やかな「みろくやの皿うどんサラダ」(中華麺)とアスパラガス、ジャガイモ、トマト、ゴーヤなど長崎産の新鮮な野菜をたっぷり使いました。野菜をさっとゆでたり、ベーコンを焼く程度の調理はありますが、食材をカットして彩りよく盛るのが主な作業です。「皿うどんサラダ」に付属の白胡麻ドレッシングをかけていただきます。
今回使った長崎産の野菜は、歴史的にも長崎にゆかりがあります。アスパラガスは江戸時代にオランダ船で運ばれてきたのが最初といわれています。当初は観賞用で、日本にもともと自生していたキジカクシという植物に似ていたことから、「オランダキジカクシ」と呼ばれたそうです。現在、長崎県のアスパラガスは全国で4位の生産量。長崎では春と夏の2回収穫期があり、冬場に養分をためる春アスパラガスは緑色が濃く甘みが強い。いま出回っている夏アスパラガスは、淡い緑色で根元までやわらかくみずみずしいのが特長です。薬膳の世界では、ほてりや喉の乾き、食欲不振などに効果があるといわれています。
夏野菜を代表するトマトの原産地は南米。17世紀末にオランダ船が長崎に運んできたのが最初といわれています。見た目から「赤なす」と呼ばれ、こちらも当初は観賞用であったとか。そして、健康野菜として知られるゴーヤは、トマトのような歴史的なゆかりはありませんが、近年では長崎県内の農作地帯として知られる島原半島を代表する農産物のひとつになるほど、品質に定評があります。
ジャガイモは、北海道に次ぐ第2位の生産量を誇ります。島原半島が主な産地で、皮がうすくて煮崩れしにくく、本当ににおいしい。長崎とジャガイモの出会いは、400年ほど昔の南蛮貿易時代。ポルトガル船がジャガトラ(現在のジャカルタ)から運んできたのが最初といわれています。
カラフルな食材を並べていく作業も楽しい長崎風ゴブサラダ。ふるさとゆかりのエピソードを語りながら、子供たちと作ってみませんか。