第528号【長崎半島先端・野母崎町の浜辺散策】

 きょう8月9日は、72回目の長崎・原爆の日。人類が同じあやまちをくりかえさないことを願いたい。おおきな犠牲をはらって、いまの平和な暮らしがあることをあらためて心に刻みたいと思います。

 

 さて、今回は、夏休み中の子どもたちといっしょに楽しめる浜辺散策がテーマです。波や風の跡を刻みながら表情を変える浜辺は、出かけるたびに新しい発見があります。貝殻や海藻、流木、石ころなどの漂着物には、それぞれのストーリーがあり、海の向こうの国を思ったり、地球のダイナミックな鼓動を感じることもできます。

 

 散策したのは、長崎半島の先端にある長崎市野母崎町の脇岬海水浴場です。東シナ海に面した長さ約2キロにわたる白い砂浜とコバルトブルーの海の色がとても美しい脇岬海水浴場は、環境省の「日本の水浴場88選」にも選定されています。また、この浜辺の端のほうには、県の天然記念物であるビーチロック(棚瀬)があることで知られています。ビーチロックとは、小石や砂が石灰質により固められた岩場のことで、満潮時には水面下にありますが、干潮時に扇型に層をなした自然の造形美が現れます。訪れたときは、潮がひきかけた頃で、ビーチロックは少しだけ顔をのぞかせていました。





 

 風紋を刻んだ砂浜の片隅に目をやると、色とりどりの貝殻が打ち寄せられていました。こうした貝殻の多くは遠くからの漂着物ではなく、近場に生息していた可能性が高いといわれています。見つかる貝の種類で、その浜辺の環境の特色がわかるそうですが、詳しいことを知らなくても、いろいろな姿形をした貝との出会いは楽しいものです。



 

 波打ち際を歩くと、平べったい小石が目立ちます。石は川から流れてくるときは、全体の角がとれて丸くなります。砂浜では、寄せては返す波に水平に動かされるので、すり減って平べったくなるのです。それにしてもいろいろな色合い、質感の石があるものです。長崎半島は古代の地層があらわになったところが各所にあるので、小石を通して地質・地層のことを学べそうです。



 

 近年、長崎半島の地層からは恐竜や翼竜の化石が見つかり話題になりました。恐竜の化石は、半島西側の海岸から沖合に見える軍艦島(端島)や高島にまたがる地域に点在する、中生代白亜紀にできたもっとも古い地層、「三ツ瀬層」から発見されたものです。

 

 半島西側海岸にある田の子地区へ行ってみました。干潮時には地続きになる田の子島があるところで、沖合に軍艦島、高島が見えます。このあたりの海岸は、脇岬より小石が多く、石の表情もより個性的なものが多いよう。ちなみに、田の子地区には2022年をめどに長崎市の恐竜博物館がつくられる予定です。長崎半島は、古生物学者や地質学者はもちろん、恐竜や地層などに興味のある人には目が離せないスポットでありました。









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