第515号【中国文化と長崎の「よりより」な関係】

 長崎ではおなじみの中華菓子「よりより」。はじめてその名を聞く人は、「???」ですが、そういうときは、「小麦粉で作った生地を、ぐるぐると縒って、油で揚げたものよ…」なんて説明するより、「ほーら、これよ」と差し出したほうが早い。見た目通りの名称に「なるほどね」と笑顔がこぼれます。

 



 きつね色に揚げられた「よりより」は、香ばしく、小麦粉の旨味がしておいしい。噛むと「カキン」と頭に響くほど固いのですが、近年、サクサクと心地よく噛めるタイプも出ていて、固いタイプとともに人気のようです。「よりより」は、長崎のお土産品の定番のひとつで、パッケージには中国語の名称「麻花兒」と書かれたものも見かけます。



 

 さて、中国といえば、旧正月(春節)を祝う「長崎ランタンフェスティバル」が、もうすぐはじまります。開催期間は、128日(土)から211日(土)までの15日間。これは、旧暦の元旦(春節)から115日(元宵節)にあたります。長崎市中心部はすでに中国ランタンの装飾がほどこされイベント開催の気分が高まっているところです。



 

 国内外からのおよそ百万人の来場者で賑わうようになった「長崎ランタンフェスティバル」。人気の理由のひとつは、まず圧巻ともいうべき15千個にも及ぶ中国ランタン装飾でしょうか。極彩色の灯りが醸す雰囲気は、日本でも、中国でもない、中国文化と融合した長崎ならではの幻想的な世界。凍てつく季節のなかにあっても、長崎のまちを不思議なぬくもりで包みます。



 

 長崎市中心部7カ所に設けられた会場(新地中華街会場、中央公園会場、唐人屋敷会場、孔子廟会場など)では、中国獅子舞、中国雑技、龍踊り、二胡演奏など、中国ゆかりの催しが連日行われます。期間中の土・日には、華やかな衣装に身を包んだ皇帝パレード、媽祖行列が行われます。また、昨年もいち押しの催しとして紹介しましたが、今年も孔子廟会場では「中国変面ショー」が毎日行われます。一瞬で仮面が変わる特殊な技は見応えたっぷりです。



 

 新地中華街会場では、干支の酉年にちなんだ高さ10メートルもある巨大オブジェが設置されます。眼鏡橋がかかる中島川界隈では黄色のランタン、新地中華街そばを流れる銅座川では桃色のランタンが出迎えてくれます。頭上にゆれるランタンの灯りを見上げて歩く時、その向こうの夜空も仰いでみましょう。長崎ランタンフェスティバルは、ちょうど新月から満月になる期間と重なるので、月が次第に満ちていく様子も楽しめます。



 

 「長崎ランタンフェスティバル」に繰り出せば、店頭で「よりより」を見かけることもあるはず。2本の生地がひとつに縒られ、螺旋を描くその姿は、はからずも普遍的。それは、中国文化と長崎の関係のようにも思えるのでした。

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