第506号【夏から秋へ。中国ゆかりの行事】

 先月末から相次いで発生した台風。被害にあわれた方々には心よりお見舞い申し上げます。一日も早く元気になり日常をとり戻されることを祈っています。

 

 地震や雨風による自然災害はいつどこで起きてもおかしくありません。防災士の資格をもつ知人によると、やはり事前の備えが大切だと言います。避難場所の確認と、緊急時用の食料やグッズなどあらためて見直したいものです。

 

 自然はときに大きな災害をもたらす一方で、季節の美しい移ろいを見せながら、日々の平安や愉しみも与えてくれます。また、人々は自然が与えるさまざまな状況に柔軟に対応しながら折々の行事をすすめ生活を営んできました。

 

 先月末、九州をそれた台風の影響でときおり強い風が吹くなか、崇福寺(長崎市鍛冶屋町)では中国盆が行われました。崇福寺は福建省出身の華僑の人々の菩提寺で、中国盆は毎年、旧暦726日〜28日(新暦828日〜30日)までの3日間行われます。境内に設けられたテーブルには、豪華なお供え物がずらり。最終日には、「金山・銀山」という、大人の身長ほどもある円すい状の飾りを盛大に燃やしてご先祖さまの霊を見送りました。



 





 中国盆が終わると季節がひとくぎり。そしていま、「中秋節(ちゅうしゅうせつ)」のお祝い(910日(土)〜16日(金)まで)が長崎新地中華街で行われています。「中秋節」とは日本でいう「お月見」の行事のこと。中国では春節・端午節とならぶ三大節句のひとつとして古くから親しまれているそうです。



 

 旧暦8 15日の「中秋の名月」は、今年は新暦915日にあたります。実はこの日、暦上のズレで満月ではありませんが(満月は917日)、晴れれば丸く満ちる寸前の名月を拝むことができるはずです。

 

 長崎新地中華街では、「満月灯籠」と呼ばれる黄色いランタンを見上げながら大勢の人々が行き交っています。隣接する湊公園では、五穀豊穣や家族の団欒を願って、龍踊りや中国獅子舞が行われていました。





 

 上弦の月の頃から満月へ向かう期間に行われる「中秋節」。ところで、日本ではお芋や団子、ススキなどをお供えして祝いますが、その習俗は平安時代にはあったともいわれています。満月の翌日からは、十六夜月(いざよいづき)、立待月(たちまちづき)、居待月(いまちづき)、寝待月(ねまちづき)と続きます。月と寄り添う暮らしから生まれたいろんな月の名前。秋の夜長、お月さまを見上げながら、昔の暮らしに思いを馳せてみるのもいいかもしれません。



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