第505号【夏も後半戦!清水寺で暑気払い】
江戸時代から続く長崎のお盆の伝統行事「精霊流し」。先週8月15日、夕方から車両が通行止めになった長崎市中心部の道路には、大小さまざまな精霊船が連なりました。大勢の見物客に見守られながら「ドーイ、ドーイ」の掛け声とともに流し場へ向かう精霊船。「チャコン、チャコン」と鳴り響く鉦(かね)の音、「バチバチバチ」と激しくうち鳴らされる爆竹、そして花火の煙があたりを包むなか、故人の霊が西方浄土へ送られました。
「精霊流し」が終われば、夏も後半戦。とはいえ、連日30度越えの暑さが続き、疲れはたまる一方です。そこで今年も、清水寺(長崎市鍛冶屋町)の「千日大祭」で暑気払いと無病息災を祈願してきました。
清水寺の「千日大祭」は、毎年8月17・18日に行われています。この日にお参りすると、千日間お参りしたのと同じ功徳を受けることができるといわれています。普段はなかなか足を運べなくても、このときばかりは都合をつけて参拝するという方も多いようです。
「千日大祭」の楽しみが、暑気払いの「そうめん」のご接待と、縁起物の「人形いも」です。「そうめん」の出し汁は、清水寺の観音さまのお経が上がったお酒を使って作っています。ですから、「そうめん」を食べることで、その御利益をお受けすることができるのだそうです。
「人形いも」とは、細長い小ぶりのさつまいものことです。指のように細いものや何かを形どったような可愛らしいものもあり、それで「人形いも」と呼ばれるようになったとか。この種のおいもは、長崎市内のスーパーなどでは宮崎県産や鹿児島県産のものをよく見かけますが、清水寺で出されるのは地元、長崎市飯香浦(いかのうら)で作られたもの、というこだわりがあります。
飯香浦は橘湾に面した地域。その昔、京都のとあるお姫さまの一行が長崎へ向かう途中、海上で難破。流れ着いた飯香浦で村人に手厚い看護を受け、収穫したばかりのさつまいもを食べて元気をとりもどしました。その後、一行は無事に長崎入りし、清水寺に住むことに。お姫さまは、飯香浦のさつまいもの味が忘れられず、「千日大祭」で用いるようになったそうです。
シンプルな蒸しいもですが、お姫さまの気持ちが分かる、と思うくらい甘くておいしい「人形いも」。友人用にも購入(1パック300円)し、安堵して帰路に着きました。
夕方吹く風にときおり秋の気配が感じられる夏の後半戦。涼みがてら港へ出ると、タグボートに先導されながらゆっくりと港を出る大型クルーズ客船の姿がありました。この8月長崎港へ入ったクルーズ客船は10数隻。早朝入港し、その日の夕方に出航する船が多いようです。予定では、8月24日(水)「コスタ・セレナーデ(約114,147t)」、8/27(土)「スカイシー・ゴールデン・エラ(72,458t)」、8/30(火)「サファイア・プリンセス(115,875t)」、8/31(水)「クアンタム・オブ・ザ・シーズ(168,666t)」と寄港が続きます。大海原を旅する白く大きな船体を眺めていると、暑さも忙しさもしばし忘れます。お出かけになりませんか。