第458号【長崎くんちや中秋節のこと】

 長崎の秋の大祭、「長崎くんち」を一カ月後に控え、今年の踊町(八幡町、麹屋町、銀屋町、西濵町、興善町、万才町、五嶋町)は、10月7、8、9日の本番に向け日々の稽古に余念がありません。夕方頃長崎の中心市街地にいると、踊町の人々が神社や公園などの稽古場へ向かって練り歩いている姿をよく目にします。総仕上げも近いこの時期、諏訪神社では本番さながらのお稽古も行われていました。龍踊を奉納する五嶋町は、従来の青龍と、この夏完成したばかりの新しい龍が迫力あふれる演技を見せ、見物客たちの拍手喝采を浴びていました。

 



 この日の稽古では、外国人の姿が目立ちました。朝から長崎港に客船「ダイヤモンド・プリンセス」(116,000トン)が入港していて、乗客の一部が見物に来ていたようです。彼らは、五嶋町の子供達がドラやラッパで奏でる龍踊りの音色にも興味を示していました。



 

 9月も2週目に入り、お天気もようやく秋らしい晴れ間が続くようになりました。本格的な祭りやイベントの季節の到来に、週末は予定がいっぱいという方も多いことでしょう。長崎新地中華街では昨日まで「中秋節」(9/59/9)の催しが行われていました。「中秋節」とは、旧暦815日の満月をはさむ期間をいい、月を愛でて収穫を祝う行事です。中国ではとくに一家団欒の行事としてとらえられ、家族で手作りの月餅(げっぺい)を食べる風習があるそうです。日本ではいわゆる「中秋の名月」を見上げながらお団子を食べたりしますが、中国由来の風習であることは言うまでもありません。



 



 「月餅」は、木の実やあずきココナッツなどで作った餡に、松の実、クルミ、ナツメ、レーズン、ナッツ、クリなどの実が入った栄養価の高いお菓子です。今回、月餅を作ってみようと思いましたが、成形のときに使う模様が彫られた木型が手に入らず、断念。以前、長崎の古道具屋さんで見かけたことがあったのですが…。香港などでは手に入れやすいそうです。



 

 目にもあたたかな黄色のランタンが頭上を埋め尽くし、アットホームな雰囲気が漂う「中秋節」。期間中、長崎新地中華街では龍踊りや中国獅子舞なども登場し、来場者を楽しませてくれます。会場にいると中国語や韓国語など、あちらこちらでアジアの言葉が飛び交い、「ああ、長崎らしいな」とあらためて感じたりします。冬場に開催する「長崎ランタンフェスティバル」ももちろん素敵ですが、「中秋節」の方が小規模な分、より親しみが感じられるという人もいます。

 

 家族や友人たちと秋の夜長のひとときを楽しめる「中秋節」。長崎の秋のもうひとつの祭典として、今後さらに注目を浴びそうです。



検索