第435号【平成25年の長崎くんち】
先週木曜日(旧暦8/15)の夜は全国的に晴れ。長崎でも雲一つない夜空にまんまるのお月さまが浮かびました。家のベランダから、仕事場の窓から、大勢の人々が中秋の満月を見上げたことでしょう。この時期、長崎の新地中華街では中国の三代節句の一つといわれる「中秋節」の祭り(9/16~20)が行われました。たくさんの黄色いランタンが中華街を照らします。新年を祝う「ランタンフェスティバル」と比べ、こじんまりとしたお祭りですが、アットホームでいい感じ。秋の夜長を家族連れてのんびり楽しめます。
全国的に祭りや催しが多いこの季節。長崎でも諏訪神社の大祭「長崎くんち」が10月7、8、9日に控えています。寛永11年にはじまり379年目となる今年、奉納踊りを担当する「踊り町」は、桶屋町(おけやまち)、万屋町(よろずやまち)、栄町(さかえまち)、本石灰町(もとしっくいまち)、船大工町(ふなだいくまち)、丸山町(まるやままち)の6カ町です。
桶屋町は、まちのシンボルである傘ぼこの垂幕(たれ)を100年ぶりに新調。傘ぼこの上にのる飾(だし)は、ファンの多い「からくり仕掛けの白象」です。出し物は、「本踊り」。江戸時代に長崎に上陸した象にちなんだストーリーが織り込まれ、踊りに、衣装に、長崎らしい異国趣味がうかがえます。
万屋町も、豪華さで知られる傘ぼこの垂幕「長崎刺繍魚づくし」の部分が新しくなったそうです。現代の職人さんによる長崎刺繍の出来映えが楽しみです。出し物は「鯨の潮吹き」。江戸時代の捕鯨の様子をモチーフにしたもので、曵き回される大きな鯨(約2トン)や、その背中から勢いよく吹き出す水にずぶぬれになる根引き衆の姿に、何度も「モッテコーイ」の声がかかりそうです。
栄町の出し物は「阿蘭陀万才」です。どこかピエロを思わせる出で立ちの二人組、「万歳」(青色の衣装)と「才蔵」(黄色の衣装)が、ユーモラスな踊りを披露。その昔、日本にやってきたオランダ人が元気に正月の祝儀に回っていたのに、教会の鐘の音を聞いたとたん、故郷を恋しがるというストーリーです。7年前は主役の二人を女性が演じていたはずですが、今回は男性だとか。おかしみのなかにせつなさのある「阿蘭陀万才」をお楽しみください。
本石灰町の出し物は、龍囃子(じゃばやし)のなか勇壮な朱色の船体がいく「御朱印船」、船大工町は子どもが扮する船頭の網打ちが見どころのひとつでもある「川船」、丸山町は長崎検番による「本踊り」と、見逃せない奉納踊りが続きます。
本番を前に、10月3日の夕方から夜にかけて行われる「庭見世」へもぜひ、お出かけください。それぞれの踊り町で、傘ぼこや本番で使用する衣装や道具、贈られたお祝い品などをお披露目。国指定重要無形民俗文化財である「長崎くんち」への期待がさらに高まります。