第414号【まごころで、温まろう】
急に寒くなりました。街路樹の落ち葉が日に日に増えて、長崎にも初冬の気配。まわりでは気温の変化に付いていけず、風邪をひいたり、ちょっと体調をくずしたりした人がちらほら。あなたは大丈夫ですか?
風邪気味のとき、玉子酒や葛湯などで身体を温める方も多いはず。ある60代の女性は、「子どもの頃は父が玉子酒を作ってくれたの。ふだんは台所に立たないのに、それだけはなぜか、父の役目だったのよね」と言います。よくよく話をうかがうと、お父さまはもともとお酒が好きな方だったよう。女性はいまになって、「ああ、だから父が作っていたのね!」と気付いたのでした。風邪気味の子を心配しながら、ちゃっかりお酒を愉しんだ亡き父。半世紀以上も経って、そのことに気付く娘さん。思わず笑みがこぼれます。
この時季、ちょっと食欲がなくてもムリなく口にできて、身体をやさしく温めてくれる長崎の郷土料理といえば、ヒカドでしょうか。その名は、食材をこまかく切ることを意味するポルトガル語の「Picado」からきたものです。まぐろ(またはぶり)と、だいこん、にんじん、さつまいもなどの野菜を煮た料理で、すべての具材は火が通りやすくて食べやすい、さいの目に切ります。だし汁は具材から出るうま味を、塩、酒、薄口醤油で整えただけのあっさりとしたもの。ほどよいトロミがあって(おろしたさつまいもを加えるため)、のどを通りやすい。和洋風な長崎シチュウです。
玉子酒も、ヒカドも、相手を気遣う作り手のやさしさがしみじみ感じられる料理ですが、この冬みろくやからも、そんな思いで作った商品が新しく登場しました。その名も「まごころちゃんぽん」。野菜や魚介類などの具材がたっぷりで、これまでのちゃんぽんと同じような食べ応えがありながら、カロリーは約半分の247kcal。食物繊維もしっかりとれて、もちろん、おいしいのです。
控えめのカロリーとおいしさの秘密は特製の和風スープにあります。「ちゃんぽんらしい」おいしさをつくるのに不可欠といわれる高カロリーな動物性脂肪(ラードや豚肉など)の材料をギリギリまで押さえつつ、かつおをベースに数種類の魚介類のエキスをあれこれ組み合わせて試作を重ねました。商品開発室の中華鍋は使い込まれ、試行錯誤の跡を残すかのように黒光りが増していきました。そうして、生まれた新しい和風スープ。「ちゃんぽんらしい」おいしさのある、やさしくて滋味あふれる味わいです。
「まごころちゃんぽん」開発のきっかけは、お客さまの声にありました。高齢で食が細くなった方、病気などでカロリー制限のある方、そしてダイエット中の方々などから、「これまでのちゃんぽんを食べたくても食べられない」というような声が多く聞かれ、それに何とか応えたいという思いからはじまったのです。
「まごころちゃんぽん」は調理も容易です。このちゃんぽんに込めたみろくやの思いがみなさまに伝わり、玉子酒やヒカドのように長く愛されますように。どうぞ、お召し上がりください。
※まごころちゃんぽんは販売終了いたしました。