第388号【催しいろいろの秋】

 さわやかな晴天が続くこの季節。あちらこちらでさまざまな催しが行われています。土日はもちろん、平日もお出かけの予定がギッシリつまっているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。ときには行きたい催しの日時が重なって、どちらかを諦めなければならなかったり、予定を入れ過ぎて体調を崩してしまったりすることもあります。無理のないようにお楽しみください。

 

 今回は、県外の方にはまだあまり知られていない長崎の秋(9月・10月)の催しをいくつかご紹介します。既に今年の催しとしては終了しておりますが、来年の秋にぜひ、お越しいただければと思います。

 

ひとつめは、長崎新地中華街を舞台に行われる「中秋節」です。毎年、旧暦8月15日の「十五夜」までの5日間開催されます(今年は9/812)。「中秋節」は、中国では三大節句のひとつとされる大切な歳事で、家族や友人が集い、「月餅(げっぺい)」(中国の焼き菓子)を食べながら月見を楽しむのだそうです。日本では「中秋の名月」と称して満月を愛でながらお団子を食べる風習がありますが、これはもともと中国から伝わったものだったのです。



 



 「中秋節」の期間中、長崎新地中華街はお月さまに見立てた黄色いランタンで彩られます。冬に開催される「長崎ランタンフェスティバル」では朱色のランタンで街中が埋めつくされますが、それとはまた違う趣きです。秋の夜の心地よい風に揺れる黄色いランタンはとてもロマンチック。中国獅子舞や龍踊りなども登場してとても賑やかです。



 

 9月中旬の土日には、長崎市の南山手地区、東山手地区で「長崎居留地まつり」(今年は9/1718)が開催されます。オランダ坂、グラバー園など幕末~明治の居留地時代の歴史的遺産を存分に味わい楽しめるさまざまなイベントが行われています。また、東山手地区にある「孔子廟」では9月の最終土曜日に孔子の生誕を祝う「孔子祭」が行われます。祭りに登場する人々の衣装からお供え物まで、まるで中国の歴史絵巻を見るような豪華絢爛な祭礼です。

 

 最後にご紹介するのは、「長崎郷土芸能大会」です。今年36回目を迎えたたいへんローカルな催しです。毎年10月初旬に長崎市民会館または長崎市公会堂前広場などで行われています。この大会は長崎市内各地に伝わる民俗芸能を披露するもので、輪番で数カ所の地域が一堂に会します。今年は、長崎くんちに欠かせない「長崎しゃぎり」、江戸時代中期から伝えられる長崎半島の「樺島ハイヤ節」、鍋藩諫早領の矢上平野村に伝えられた「矢上平野浮立」などがお目見え。担いだり、踊ったり、奏でたりと、個性的な伝統芸能の数々を大勢の観客が楽しみました。







 

 同じ長崎でありながら、ひと山、ひと浦土地が変わるだけで、風土や人々の暮らしも微妙に変わり、まったく違った郷土芸能が生まれ育まれてきたことがわかります。それらは、素朴、華麗、勇壮、そしてときに奇抜で摩訶不思議なものまであって、実に多種多彩。昔の人の感性やユーモア精神まで伝わってくるようです。こうした民俗芸能には規模の大小を問わず、地域の、日本の、心がつまっているような気がします。あなたのお住まいの地域にもきっとある民俗芸能。この秋、訪ねてみませんか。

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