第374号【変わる長崎港、浦上川河口の景色】

 まちで卒業生らしき姿を目にすると、自分にもそんな時代があったなあと当時の思い出にひたりつつ、あの頃と比べると、まちの風景も、世の中も(もちろん自分自身も)ずいぶん変わったものだ、なんて思ったりすることはありませんか?


 長崎港の一角にある「長崎水辺の森公園」を楽しそうに歩いている学生たちや犬を連れて散歩する人の姿を見ていると、つくづくそんなことを思います。20年前までこの辺りは、港湾沿いに地味な倉庫が建ち並び、公園はおろか、市民が憩う姿などほとんど見られなかったからです。




 大型商業施設や道路など、年々、何かが新しく生まれ着実に変化を遂げている長崎港周辺。2月には長崎港にかかる女神大橋と、高速道路網とを結ぶ「長崎南環状線(長崎市大浜町~田上)」が全線開通し、快適な交通の流れが生まれました。この「長崎南環状線」は、「長崎水辺の森公園」そばに出るオランダ坂トンネル(ながさき出島道路)とも結ばれていて、新たな物流の効率化はもちろん、市民の利便性向上にも貢献しています。また、昨年秋には長崎港へそそぐ浦上川沿いを走る「都市計画道路・浦上川線」が開通し、市街地にスムーズな流れが生まれています。






 まちの中の新しい流れを歩行者の立場から眺めてみようと、「長崎水辺の森公園」からスタートし、浦上川沿いを少し上流の稲佐橋までほど歩いてきました。大波止あたりから、浦上川線へつながる新しい道路の横には港の埋め立て地が広がっています。新聞報道によると、ここに、長崎県庁舎の移転が決まったとのこと。さえぎるものが何もない、今のうちだけの風景をしっかり眺めながら、旭大橋をくぐり、浦上川沿いを上流へ向かいました。




 河口付近ということもあり、ほぼ平坦な道が続きます。右手には、長崎駅をはさんだ向こうに立山、そして、左手には稲佐山。そうしてぐるりと周りを見渡せば、鍋冠山、英彦山、豊前坊など、長崎港を囲むほとんどの山々が確認できます。




 小型船舶が停泊する河口付近ののどかな風景やそこから望む港の様子は、観光客の方々にもぜひ見てほしいと思うほど、のびやかで気持ちのいい風景です。実は、この辺りは江戸時代の頃はほとんどが海でした。当時はどんな風景だったろうかと想像しながら歩いていると、川沿いの一角の手すりに「馬込橋」と記されたプレートが付いていました。その辺りは確か、江戸時代には浦上村馬込郷と呼ばれたところ。昔の地名を橋の名前として残していることに、ちょっと感動しました。




 そこから稲佐橋まで、ほんの数分で到着。帰りは路面電車でもどろうと、宝町の電停に向かうと、幸運なことにこの2月から走り出したばかりの新車両「5000形」に乗ることができました。この車両の愛称は、「ガンダム」。その名の通りのイケメン車両で乗り心地はグッドでした。




 この3月27日には、長崎港沖合に浮かぶ伊王島と長崎市香焼町を結ぶ伊王島大橋が開通。長崎市中心部から車で約30分で、伊王島へアクセス可能になります。この春も未来へ向かって、ドラマチックな変化が止まらない長崎です。


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