第372号【2011長崎ランタンフェスティバル】

 見渡せば、どこもかしこも極彩色。1万5千個ものランタンが春の訪れを喜ぶかのように、優しくやわらかな明かりを揺らしています。




 いま、長崎市中心部では、旧正月(春節)を祝う「2011長崎ランタンフェスティバル」(2月3日~2月17日開催)を開催中です。この冬は全国的に記録的な寒さが続きましたが、長崎ではこのフェスティバルがはじまる頃からじわじわと温かくなり、3月のような陽気に包まれた日もあるほどでした。行き交う人々の表情も、かなりほころんでいます。


 ランタンフェスティバルは2週間という長丁場のイベントで、大勢の人々で賑わう(過去最高92万人集客)長崎の冬の風物詩です。長崎新地中華街に隣接する湊公園を主会場に、市中心部に全7カ所の会場が設けられ、中国獅子舞や龍踊り、中国雑技など中国色豊かなさまざまな催しが行われています。年々、規模や内容が充実しているなか、今年は「孔子廟(こうしびょう)」(長崎市大浦町)が新しい会場として加わりました。




 黄色い屋根瓦が目を引く「孔子廟」は、歴史的に中国の影響を強く受けて来た長崎の中でも、特に中国色の強さを感じる建物です。さっそく足を運んでみると(イベント期間中、夕方5時から入場無料、夜9時まで)、孔子と孟子の大きなオブジェが入り口の庭園で出迎えてくれました。悠久の歴史をかもす中国独自の建築様式は、暗闇のなかでライトアップされることで、その魅力がぐっと引き立ち、幻想的な世界に変わります。「孔子廟」は、湊公園の会場から徒歩で10数分。大浦海岸通りを走る路面電車(「大浦天主堂下」または終点の「石橋」電停下車)を利用してもいいかもしれません。




 主会場の湊公園では、干支にちなんだ巨大オブジェ(約8m)、「玉兔(ぎょくと)」が注目を浴びていました。月の女神になったといわれる伝説の女性と、玉(月)の上で不老不死の薬をキネでつくウサギの姿がかたどられています。毎年、この会場で今年の干支をあらためて確認しながら、良い年になるようにと心の中で手を合わせる人もいるかもしれません。




 10分ほどの徒歩圏内で結ばれる各会場。その道すがら目を楽しませてくれるのは、中国の歴史に登場する有名人や伝説の生きもののオブジェです。それぞれには、物事がうまく運ぶようにとか、富や財を得られますようになど、さまざまな願いが込められていて、いわれを綴った説明板を読み歩くのも面白いです。




 眼鏡橋がかかる中島川では、水面に映る黄色いランタンの美しい光景を楽しむことができます。そこから寺町通りへ向かい、唐寺・興福寺へ。連日催しで賑わう他の会場とは違い、ここはしっとり静かな佇まいです。おおらかな風情を漂わせる大雄宝殿で手を合わせ、北国でまだ続いている積雪の被害や宮崎県新燃岳の噴火災害の一日も早い終息を祈願したのでした。
















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