第361号【龍馬を探してまち歩き(浜市アーケード周辺)】

 この猛暑にも関わらず、長崎のまちでは、子供たちからご年配の方まで、龍馬ゆかりのスポットをめぐる姿が後を絶ちません。龍馬ブームの熱さも、相当なもののようです。


 これまでも何度かご紹介しましたが、龍馬ゆかりのスポットは、長崎市の中心部に多く点在しています。その中から今回は、暑い中でも無理なく散策でき、いつでも最寄りの喫茶店で一息入れることができる、浜市アーケード(長崎市浜町)を中心に徒歩10分圏内のスポットをいくつかご紹介します。


 浜市アーケードの真ん中には、「長崎まちなか龍馬館」という、来年2月末までオープンしている期間限定のスポットがあります。龍馬が活躍した時代を貴重な資料とともに展示。さらに、お土産のセレクトショップや、観光インフォメーションもあります。この場所からスタートです。




 徒歩2分。アーケードからちょっとそれた場所に「清風亭跡」があります。慶応3年(1867)1月、この料亭で、仇敵だった後藤象二郎と龍馬が会談し、意気投合。その後、力を合わせていくことになり、同年10月の大政奉還の実現へとつながります。幕末史上、重要な出来事のひとつとされる、この「清風亭会談」には、龍馬なじみの芸奴、お元さんも同席したと伝えられています。現在この場所は、当時の面影は全くありませんが、その会談を想像すると、ゾクゾクッとするものがあります。




 アーケードを東側へ抜け、鍛冶屋町にある崇福寺をめざします。途中には、「大浦けい居宅跡」の碑(油屋町)ありました。日本茶を外国に輸出して、大きな利益を上げた人物です。幕末の志士らを支援したとも伝えられています。


 4~5分ほど歩くと、「崇福寺」です。唐寺らしい赤い門に出迎えられました。1629年(寛永6)に長崎在住の福建省の人々によって建立され、国宝をはじめ多くの文化財を有する由緒あるお寺です。大河ドラマ「龍馬伝」では、その境内を舞台に長崎らしい異国情緒を感じるシーンが撮られていました。




 「崇福寺」から南へ下り、電車通りを横切ると、思案橋・丸山界隈へ出ます。龍馬とお元さんが出合った場所ともいわれています。江戸時代の丸山遊郭の建物として唯一残る、史跡料亭「花月」には、多くの幕末の志士らが訪れました。「花月」前の丸山公園には龍馬像が建立されています。


 飲食店が軒を連ねる本石灰町や船大工町を通り抜けて7~8分、銅座町の一角に「薩摩藩蔵屋敷跡」があります。薩摩藩の長崎における拠点です。ここから、徒歩3分の浜市アーケード西側出口付近には、「土佐商会」跡があります。ここに、のちに三菱財閥を築いた岩崎弥太郎が駐在し、海援隊の金庫番の役割も果たしました。もちろん龍馬もたびたび出入りしていたに違いありません。




 中島川沿いにある「土佐商会」跡から、上流へ5分ほど歩くと眼鏡橋があります。当時の長崎のメインロードでもあったこの橋を、龍馬もきっと渡ったに違いありません。橋のたもとで長崎名物チリンチリンアイス(100円)を頬張りながら、ブーツを履いたハイカラな龍馬さんが、この味を知らないことを残念に思ったのでした。





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