第358号【新スポット、長崎港松が枝国際ターミナルへ】
長い坂段の途中や洋館の庭にさりげなく咲くアジサイ、しっとりと雨に濡れた石畳など、長崎らしい独特の風情をかもした雨の季節も、そろそろ終わりです。一年を通じて多くの国際クルーズ客船が入港する長崎の港では、梅雨の間も、「Seabourn Pride(シーボーン・プライド)」、「ふじ丸」、「Legend of the Seas(レジェンド・オブ・ザ・シーズ)」などが寄港。女神大橋をくぐり、港内に優雅に現われた大きな船体たちは、華のような存在感で、深い霧に包まれた港を明るくしてくれました。
長崎で国際クルーズ客船が着岸するのは、かつて外国人居留地だった南山手エリアの一角にある「松が枝埠頭(まつがえふとう)」と呼ばれるところです。実はこの埠頭に、今年3月「長崎港松が枝国際ターミナル」が完成し、すでに、海から訪れる多くの外国人観光客を快適に迎え入れています。
「長崎港松が枝国際ターミナル」は、モダンで個性的な建物です。海上から見ると、まるでUFOを思わせるユニークな形をしています。1階は、広々とした待ち合いホールで、海側は全面ガラス張り。対岸にそびえる稲佐山や麓の街並み、造船所の景色などを眺めることができます。もちろん、1歩外に出れば、心地よい潮風に吹かれながら、ぐるりと港内を見渡せます。かつて、ご主人が対岸の造船所に勤務していたという女性(60代)は、その景色を感慨深げに眺めていました。
ゆるやかな弧を描くようなデザインの屋上(2階部分)は、芝生に覆われたオープンスペースになっていて、国際クルーズ客船が着岸しているときは、その姿をほどよい高さと近さから、じっくり見ることができます。ときには、偶然目が合った客船側の人と手を振りあったりして、小さな国際交流も楽しめます。
「長崎港松が枝国際ターミナル」は、屋上の緑化だけでなく、太陽光発電の利用や自然光を室内にとりこむ構造など、環境にも考慮してつくられています。また、個性的な外観でありながら、周囲の風景に自然な感じで溶け込んでいるため、地元の人でも建物に気付かずに通り過ぎてしまうことが多いそうです。
このターミナルは、ふだんは午前9時から午後6時まで開館していて、どなたでも自由に出入りすることができます。国際クルーズ客船の寄港時以外は、待ち合いホールを展示会や講演会など各種イベントに利用できるほか、会議などに使える多目的ルームもあります。(※開館時間は、国際客船寄港時や催し等がある場合、変更することがあります)。ちなみに、ホールの利用料金や駐車場の料金は、他よりもちょっとお得なのが、見逃せないところ。今後、長崎らしさを満喫できるこの場所で、魅力的な催しがいろいろ行われていくことでしょう。
この夏、長崎港では美しい帆船が集う「帆船まつり」(7/22~26)、夜1,000発の花火があがる「ながさきみなとまつり」(7/31、8/1)そして、「全国ペーロン選手権大会」(7/31、8/1)などが行われます。「松が枝国際ターミナル」周辺は隣接する「長崎水辺の森公園」と一緒に、そうした催しの舞台となります。この機会に、ぜひ一度、お出かけください。
◎取材協力:松が枝ターミナル管理事務所 TEL(095)895-9512
●ホールなどの利用についての詳細は、「長崎港松が枝国際ターミナル」のホームページをご覧ください。
http://www.kouenryokuchi.or.jp/crane/matsugae/index.html
●アクセス
路面電車:「大浦海岸通」または「大浦天主堂」電停下車、徒歩3分。
お車 :長崎駅から野母崎方面へ走り、「旧香港上海銀行長崎支店記念館」前から右前方に見える「大浦警察署」の方へ入り、道なりにぐるりと回って駐車場に入ってください。