第318号【フランスの家庭に伝わるケーキのお店「リトルエンジェ ルズ」】

 北の各地から初雪の便りが届きはじめています。南国・九州の長崎はまだ秋うららの過ごしやすい日が続き、街路樹も最近になってようやく本格的に色づきはじめたばかりです。秋の観光シーズン真只中ということもあり、きれいな紅葉が舞う石畳の街を、旅行者や修学旅行生たちが楽しそうに行き交っています。本当に美しい長崎の秋、あなたもぜひお出かけください。


 今回は、長崎の小さなケーキ屋さん「リトル・エンジェルズ」をご紹介します。全国のスイーツファンの間では、つとに有名なお店で、中でもチーズケーキ「フロマージュ」と「クレームブリュレ」は、雑誌やTVでも紹介されるほどの人気商品。長崎の繁華街の一角にある「リトルエンジェルズ・万屋店」(長崎市万屋町)には、地元客はもちろん、観光客の方々や修学旅行中の学生さんなどの姿が後を絶ちません。




 タルトやムース、クッキーなど多彩な洋菓子が揃った「リトル・エンジェルズ」。そのおいしさを生み出しているのは、パティシエのフランス人マダム、ベレニスさんです。15年前、長崎に嫁いで来たのをきっかけに、この街でケーキ屋さんを開店しました。「フランスの家庭には、祖母から母、そして子どもへと受け継がれるお菓子のレシピがあります。そんなフランスの豊かな食文化を日本の皆様へお伝えしたいと思ったのです」とベレニスさん。故郷ロワール地方で過ごしていた頃は、お母さんや妹さんたちと、新鮮な卵や牛乳、そして庭や近くの森から摘んできた季節のフルーツを使ってお菓子作りを楽しんでいたそうです。


 「素材には徹底してこだわります」というベレニスさん。たとえば、人気商品のチーズケーキ「フロマージュ」も「クレームブリュレ」も、旭川産の牛乳と長崎の契約農家から届けられる新鮮な卵を使用。チーズケーキ「フロマージュ」は、直火でじっくり時間をかけて焼き上げられ、素材の風味豊かな上品でクリーミーな味わいです。「クレームブリュレ」は、香ばしく焼き上げた表面のキャラメルと、その下のなめらかなクリームが絶妙のバランス。バニラビーンズの甘い香りに思わずうっとりしてしまいます。






 ベレニスさんのお菓子作りの思い出のひとつに、クリスマスケーキがあります。「クリスマスの一ヶ月前から、何度もケーキを作る練習をさせられました。そんなふうにして、いつの間にかケーキ作りのコツや勘を養っていたようです」。当時はクリスマスになると、親せきや友人など総勢40人近くが集まり、おおいに語らい賑やかに過ごしたとか。手作りのケーキと、フォアグラ、生カキ、エスカルゴなどおいしいメニューを囲んで過ごしたアットホームなひととき。深夜、教会から帰ると、ツリーの下には家族一人ひとりへのプレゼントがそっと置かれていたそうです。






 クリスマスの夜は、毎年うれしさのあまりなかなか寝つけなかったというベレニスさん。そんな人との絆や愛があふれる思い出がつまったクリスマスケーキが、この冬も「リトルエンジェルズ」から期間限定で発売されます。新鮮な牛乳をたっぷり使った真っ白なムースに、木苺や苺をミックスをしたフルーティーな味わいが爽やかな「レーヌ・ブランシュ」と、甘さ控えめのチョコレートムースに香ばしいヘーゼルナッツやサクサクのフィヨンティーヌが入った「チョコレート・ムース・シャモニクス」の2タイプ。ケーキの上のサンタクロースやキノコなどの飾りは、買った方がご自分で好きなように飾れるという小さな楽しみがあります。






 今年のクリスマス、洋菓子の本場フランスが香る「リトルエンジェルズ」のケーキを味わってみませんか?


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