第316号【2008年の長崎くんち】
秋祭りのシーズンです。長崎も今、370余年の歴史ある諏訪神社の大祭「長崎くんち」が華やかに開催中です。前日(まえび:10/7)、中日(なかび:10/8)後日(あとび:10/9)と3日間あって、きょうは中日。「長崎くんち」独特のシャギリ(笛と締め太鼓が奏でる囃子)の音色が響き渡って、街はまさに「長崎くんち」一色といった感じです。
今年も当番の「踊町」が一生懸命に自慢の奉納踊りを披露しています。「踊町」は、長崎市内に約60町近くあって、その当番は7年に1回めぐってきます。今年は、新橋町(しんばしまち)、諏訪町(すわまち)、新大工町(しんだいくまち)、金屋町(かなやまち)、榎津町(えのきづまち)、西古川町(にしふるかわまち)、賑町(にぎわいまち)の7カ町。各町の奉納踊りをご紹介します。
新橋町は、本踊り「阿蘭陀万歳(おらんだまんざい)」。大道芸人風の派手やかな衣装に身を包んだ異人さん2人が、コミカルでユーモアが感じられる踊りを披露。長崎ならではの異国情緒が感じられます。
諏訪町の奉納踊りは、「龍踊り」です。青龍(せいじゃ)と白龍(はくじゃ)の2頭の龍が登場し、ダイナミックな踊りを見せてくれます。白龍は、諏訪神社の「つかい者」が白蛇であることに由来しているとか。かわいらしい子供の龍、孫の龍も見逃せません。
新大工町は、「詩舞」と「曳壇尻(ひきだんじり)」。詩舞の題目は「祝賀の詞 坂本龍馬を思う」。龍馬は幕末、長崎にやってきて亀山社中を立ちあげるなど、長崎とゆかりの深い人物です。男衆が力いっぱい引き歩く「曳壇尻」は、3トンもの重さ。それを豪快にグルグルと引き回す様子は圧巻です。
金屋町は、7年前にも好評だった本踊りで「秋晴勢獅子諏訪祭日(あきはるるきおいのししのすわのまつりび)」を披露。2匹の獅子のコミカルな動きが見物です。1匹の中に前足、後ろ足と女性2人が入り、息を合わせて演じます。さらに、ひょっとことおかめも登場するなど、観客を飽きさせません。
榎津町は、上部に鮮やかな紅葉と白菊を配した「川船」を引き回します。ゴロゴロと重い船を引く根曳衆(ねびきしゅう)たちの屈強な姿がかっこいい。船頭役の子供が網を上手く操って、魚を捕らえる姿も見逃せません。
西古川町は、14年ぶりの登場です。この町の伝統である相撲踊りが復活。力士の弓取り式、櫓太鼓(やぐらだいこ)などを披露します。前日(7日)に、長崎市矢上の中尾地区で伝承されてきた西古川相撲道中囃子(長崎県無形文化財)が披露されました。このお囃子の奉納は百数年ぶりだったそうです。
賑町は、その昔、町内に恵比須神社が祀られていたことに由来して、「恵比須船」を奉納します。船には、いけす用の大籠や錨が載せられ、その上にビードロ製の漁網が施されています。また、賑町は中島川に面した町で、古く魚市場があり、材木を商った材木町などが合併されて現在に至ります。船体の材木が目を引く恵比須船にはそんな町の歴史が込められているようです。
10月3日の庭見せも華やかでしたが、やはり本番はこの3日間。きょう明日と、浜町アーケード界隈に出向けば、街を練り歩く「踊町」やおみこしのお上り(9日午後1時から)を見ることができるはず。今からでも間に合いますように!