第313号【中島川の生きものとハート・ストーン】

 子供たちの夏休みもそろそろ終わりです。遊びまくって真っ黒に日焼けした親せきの子は今、半ベソをかきながらたまった宿題をかたずけてるところ。自分にも身に覚えのある光景に、思わずニガ笑い。皆さんは、いかがでしたか?


 この夏休みのはじめ、子供たちと一緒に中島川の水中の生きものを観察する催しに参加しました。中島川は、眼鏡橋などの石橋群で知られ、観光客の方々が多く訪れるところです。この催しで引率の先生から意外な話を聞きました。山あいの清流などにしか生息しないと思っていた「アユ」が、この市街地の真ん中を流れる中島川で8年ほど前から確認されているとのこと。さらに一昨年、これまた水がきれいな環境を好む「シロウオ」も、眼鏡橋から上流3つ目のすすき原橋近くで確認されたそうです。




 中島川は思った以上にきれいな流れ。子供たちはザブザブと水の中へ入ったり、石を返したりして観察に夢中。ミナミテナガエビやモズクガニも捕まえました。中島川では他にも、カワムツ、オイカワ、ゴクラクハゼ、キンブナ、ヨシノボリといった川魚もいるそうです。






 実はこの催しの2カ月ほど前、眼鏡橋やすすき原橋の近くで、コイの群れに混じって泳ぐナマズを発見。頭の形がコイよりも丸くて平べったく、身体は円筒状でウロコはありません。背ビレは、コイは体長の半分くらいの長さがありますが、ナマズのは小さい。中島川の近所で生まれ育った80代の男性は、「昔は、ウナギがいて、捕まえて食べよった。でも、ナマズがいるとは知らなかった」と驚いていました。






 ちょっと話がズレますが、眼鏡橋付近の護岸の石垣にハート・ストーンがあるのをご存知ですか?詳しい人に聞くと、少なくとも10個はあるようです。眼鏡橋を訪れる機会があったら、ぜひ、探してみてください。ナマズもその界隈にいます。




 さて、魚類以外で、中島川で見かける水生の生きものにミドリガメがいます。雨上がりなどには、よく甲羅干しをしています。聞けば、ミドリガメは外来種。誰かが飼っていたのを川に放したのだろうということでした。親亀、子亀と背中に乗せて日向ぼっこしている光景はほのぼのとして悪くないのですが、環境保全のことを思うと複雑です。


 すすき原橋から、さらに上流5つ目の桃谷橋付近では、青緑の羽が美しいカワセミの姿を一度だけ確認したことがあります。気を付けていると鳥類もいろんな種類を見かけますし、植物も多様です。街の中で、人知れずたくましく生きる生きものたちをまた別の機会にご紹介したいと思います。


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