第299号【美しい冬景色・2008長崎ランタンフェスティバル】
一年でもっとも寒いといわれる大寒の時季、いかがお過ごしですか?ブルブル震えるような寒さの中でも、風や日射しにときおり早春の気配が感じられます。そういえば2週間ほど前、九州では4月のような温かい日がありました。「えっ、もう春?」と驚きましたが、やはり一時的なもの。本物の春は、まだちょっと先の方で待ってくれているようです。
誰もがコタツで丸くなっていたいこの時季ですが、長崎の街は逆にソワソワとして、人々は屋外へ目を向けはじめています。というのも、中心市街地の各所で、「2008長崎ランタンフェスティバル」の準備がはじまっているからです。長崎市民は、ランタン(中国提灯)や中国ゆかりのオブジェの装飾など、日に日に極彩色に彩られていく街の様子を肌で感じながら、「もうすぐ、はじまるぞ」とうれしい期待感に包まれています。
昨年は、全国から約92万人もの人々が訪れた「長崎ランタンフェスティバル」。旧暦の元旦から約2週間行われるこの一大イベントは、もともと長崎在住の華僑の方々が、旧正月(春節)を祝う行事として長崎新地中華街を中心に行っていたもので、平成6年から現在のように官民一体となり街をあげて祝うようになりました。旧暦元旦を初日とする開催期間は、今年は2月7日(木)~2月21日(木)。旧暦元旦は新暦だと1月下旬の年もあれば、2月中旬になる年もあり、開催期間が毎年変わります。ちなみに来年の旧暦元旦は1月26日、再来年の2010年は2月14日バレンタインデーだそうです。
ところで、同時期に中国や韓国などアジアの国々でも「春節」を祝う行事が行われています。ニュースでその様子を見るたび、「長崎ランタンフェスティバル」は、華やかさではどこにも負けてないぞと思ってしまうのです。長崎の中心市街地一帯にぎっしりと飾られる約15,000個のランタンは、夜になると温かくてやわらかな光を放ち、街の表情は一段と幻想的になります。徒歩5~10分圏内でつながる6ケ所の会場(湊公園・中央公園・唐人屋敷・興福寺・浜んまち・鍛冶市)では、中国雑技や龍踊り、中国獅子舞、二胡の演奏、太極拳などが毎日展開され、悠久の歴史を持つ中国の多彩な魅力をたっぷり楽しむことができます。
「2008長崎ランタンフェスティバル」のいくつもある見どころの中で、見逃せないのはメイン会場の湊公園に登場する干支の巨大オブジェです。「老鼠娶親(ラオ・スー・チィー・チィン)」という名前で、正月の3日に「ねずみ」が嫁にいくという中国の言い伝えにちなんだもの。8メートルの高さです。
眼鏡橋がかかる中島川界隈へもぜひ、足をのばしてください。たくさんの黄色いランタンが水面に揺れて、他の会場とはひと味違った美しい光景です。川沿いには、金魚や鴛鴦(おしどり)など、水にちなんだオブジェが並べられています。どこか愛嬌のある縁起のいいオブジェたちが、新年に福を運んでくれそうです。
今年こそ素敵なご縁を願う方は、中国の縁結びの神様「月下老人」にお願いしてみましょう(浜んまちの浜屋デパート前)。白髪、白眉、白髭の素敵な爺様です。特製の「赤い糸のお守り」(100円)も用意されています。
それから、興福寺、崇福寺などの唐寺めぐりや、週末なら江戸時代の唐人屋敷跡で、点心を食べたり、中国茶を飲んだりしながら古き良き中国を訪ねるのもおすすめです。新しい年をアジアらしく祝う「2008長崎ランタンフェスティバル」。新暦で出遅れた方は、長崎で新たな年をスタートさせましょう!
◎ 取材協力/長崎ランタンフェスティバル実行委員会