第227号【城下町島原でのんびりひなめぐり】

 有明海に面した静かな城下町、島原。町のいたるところに湧水が流れ、ゆったりとした雰囲気が漂う気持ちのいい町です。今、「島原城下ひなめぐり」(~4/3)が行われていると聞いて出かけてきました。


 島原へのアクセスは、JR長崎駅から特急で約17分。諌早駅で島原鉄道に乗りかえて、約一時間。列車から降りると、瓦葺きに白壁の島原駅が出迎えてくれ、気分はいっきに武士の時代へタイムスリップ。城下町めぐりへの期待感が高まります。




 2月中旬からはじまった「島原城下ひなめぐり」は、来月3日まで行われる長丁場の催しで、主に地元の商店などが、それぞれの家にあるひな人形を店頭に飾り、地元の人や訪れた観光客に島原城下の散策をもっと楽しんでもらおうというものです。島原城、武家屋敷、湧水が流れる水路で泳ぐ鯉など、この町ならではの観光スポットをめぐりながら、同時におひなさまも楽しめるとあって、若い人からご年配の方まで、女性たちの姿が目立ちます。




 おひなさまを飾っている「森岳商店街」、「サンシャイン中央街」「一番街アーケード」といった島原城下の商店街は、どこか昭和の風情が残る店構えが多く、通りを歩くだけで気分が和みます。いずれの商店街も島原駅から徒歩圏内にあり、仲間とそぞろ歩きながらのんびりスムーズにおひなさまめぐりはすすみます。




 ふだんはなかなか見る機会のない珍しいおひなさまにも出会えた「島原城下ひなめぐり」。その中で、ぜひ訪れていただきたいお店を二つご紹介します。一つ目は、島原駅から徒歩二分の場所にある「林屋京染店」です。北は北海道から南は鹿児島までの郷土色豊かなおひなさまから、かわいいキャラクターものまで、約230種類が勢揃いしています。「けして高価なものとか、歴史あるものがあるわけではないのですよ…」とご謙遜なさるご主人。すべて奥様がご趣味で約30年ほどかけて集めたものだそうで、「どのおひなさまも自分の子供のようなもの。全部好きなんですよ」と奥様はおっしゃいます。長崎で手に入れたという「箱入りびな」やモダンなスタイルの「春慶塗」のおひなさま、岩手県の「まゆびな」など、アイデア多彩なおひなさまたちに、とにかく驚きの連続。しかもみんなかわいらしいので見ていて本当に飽きません。



 もう一つのお店は、「一番街アーケード」の一角にある「白山履物店」です。明治から昭和の初め頃にこちらの家で作っていたという「押し絵人形」のおひなさまを見ることができます。「訪れたお客さまが、昔は自分の家にもあったと懐かしがってくれます。当時の庶民は豪華な段飾りは手に入らず、押し絵びなをつくって飾っていたようですね」とご主人。そのご主人のお祖母さん、曾お祖母さんが作ったという「押し絵びな」は、手作りの温もりが伝わるやさしい表情がとても印象的。島原の町の風情を映し出しているようでした。




 お友達同士で、家族でのんびりと楽しめる、「島原城下ひなめぐり」。この春のお出かけスポットに加えてみませんか?

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