第211号【「グッドデザイン賞・金賞を受賞、長崎水辺の森公園】

 先日、秋晴れの休日を楽しむために、「長崎水辺の森公園」へ出かけました。家族や友人と語らいながら園内を歩いている人、犬を連れて散歩を楽しむ人、芝生に寝転がっている人、海を眺めている人など、思い思いのスタイルで人々がのんびりと過ごしています。この光景を見るたびに、本当にこの公園ができて良かったなあと思います。




 今年3月、長崎港に開園してまもなく当コラムでもご紹介した(184号)、この公園に、10月1日うれしいニュースが舞い込みました。グッドデザイン賞(建設・環境部門)の金賞を受賞したのです。グッドデザイン賞とは1957年、通商産業省によって創立された、「グッドデザイン商品選定制度」を母体とする、日本で唯一の総合デザイン評価・推奨制度で、升(マス)を思わせる形の中に「G」の文字をデザイン化した「Gマーク」で知られています。社会的、文化的価値の見地から評価して、優れていると認められるものにおくられる「グッドデザイン賞」は、「デザインの力」によって社会全体をより良い方向へ推し進めていく役割を果たしていると言えます。


 公園の金賞受賞にあたって、審査員の評価は、子供から大人まで楽しめること、年月が経過すると、やがて水のそばの豊かな森の公園になるよう計画されていることなどがあげられていました。今、植えられている樹木などが成長し、新たな森の表情となっていく。この公園で、人々がほっとくつろぐのは、そんな自然な時間の流れを感じているからかもしれません。


 自然石を施した海際では、ザブン、ザブンと打ち寄せる波の音がとても心地よく、そのそばには、白い花びらと光沢のある緑の葉がとてもきれいなハマギクが咲いていました。公園の隣では来年春開館予定で建設中の長崎県美術館が、モダンな外観を見せはじめています。






 この日の朝、公園に隣接する松が枝岸壁(松が枝町)には、17年ぶりに長崎に入港した国際観光船「ロイヤルプリンセス」(44,588トン)の姿がありました。白く巨大な(9階建)船体が、太陽の光を浴びてキラキラ輝いています。乗客はアメリカ、イギリス、ロシアなど1,200人近くいたそうです。一行は、2週間ほど前にタイを出発し、シンガポール、香港を経て長崎へ。降り立った乗客たちは市内観光を足早に楽しみ、同日夕方にはこのツアーの最終寄港地である中国・天津へ向かいました。「ボー、ボー、ボー」と太くて低音の汽笛を響かせ、夕日を浴びながら長崎を出港するその様子を、公園のベンチで船が見えなくなるまで眺めている老夫婦の姿が印象的でした。




 話は変わりますが、長崎の街ではもうひとつ、今年の「グッドデザイン賞」の受賞作を見ることができます。「超低床路面電車」です。初めて純国産技術で実現したものだそうで、乗降口のステップがないため、だれでも快適に乗降できるユニバーサルデザインになっています。省エネで環境にも配慮しています。「長崎水辺の森公園」と「超低床路面電車」。幸せを感じるそのデザインをぜひ、あなたご自身も体験してください。




検索