第202号【島原半島めぐり】
今日からいよいよ9月。まだまだ暑さは続いていますが、朝晩には涼しい風も時おり吹くようになりました。秋はもうすぐそこです。夏バテに気を付けてお過ごしください。
今回は島原半島がテーマです。風光明美なこの地域は、その魅力も多彩。先日、避暑地あり、自然の脅威あり、歴史ありのスポットめぐりを楽しんできましたのでご紹介します。
まず最初に向かったのは高原の温泉地・雲仙です。長崎駅から車で1時間40分ほどで到着します。地図でみると島原半島のほぼまん中に位置する雲仙。その温泉街は、標高約七百メートルのところにあり、車を降りると、まずはその涼しさに感激します。聞けば、夏場の平均的な気温が22~24℃くらいだとか。下界で酷暑の日々を過ごしていた者としては、その快適な涼しさに心が癒されるようでした。
雲仙の温泉街を囲むようにして連なる山々は、春はツツジ、秋は紅葉、冬は霧氷と四季折々に美しい表情をみせ、登山を楽しむ人々も大勢います。温泉街から散歩がてら山道に入ると、ヤマホトトギスやキッコウハグマ、ノリウツギなど高原の植物たちの姿がありました。自然観察会にはもってこいの土地のようです。
日本で最初に国立公園になった雲仙は、昭和9年の指定から今年で70周年を迎えました。温泉街の中央に位置する「雲仙スパハウス・ビードロ美術館」ではそれを記念して「雲仙むかしの写真展(来年3/31迄)」と「ノスタルジックUNZEN展(~9/30迄)」が行われています。明治時代から外国人の避暑地として人気のスポットだった雲仙の歴史を垣間見れる素敵な展覧会で、ヘレン・ケラー女史が雲仙を訪れた際の貴重な写真も見ることができました。
さて、涼しい雲仙から東へ山を下り、国道251号線沿いにある「道の駅みずなし本陣ふかえ」へ。この道の駅は雲仙普賢岳噴火によって生まれた平成新山を一望できる場所にあり、土石流による被災家屋が保存された「遺構保存公園」もあるなど、自然の脅威を肌で感じることのできるスポットです。もちろん道の駅ですから、農業の盛んな島原半島ならではの特産品を味わえる食事処、お土産店も充実しています。
「道の駅みずなし本陣ふかえ」でひと休みしたら、国道251号線をいっきに北上。めざしたのは、国見町神代小路(こうじろくうじ)地区です。ここには、江戸時代初め頃の旧神代鍋島藩陣屋をはじめ立派な庭園を持つ「鍋島氏」のお屋敷や、鶴亀城跡などがあり、その一帯は武家屋敷群が整然と広がっています。広々とした通りの脇を流れる水路や生け垣や石垣、そしてかやぶき屋根の家など、今にもお侍さんが現れそうな風景が、現実に残っていることに感動を覚えます。
文化庁の補助事業の「伝統的建造物群保存対策調査」でも、その歴史的価値は、高く評価されているそうです。鍋島氏のお屋敷は私邸なので、庭園の公開は平日のみということ。武家屋敷の静かな通りを歩くだけでも江戸時代にタイムスリップできます。一度、訪れてみませんか。