第199号【丸山・梅園天満宮でぶうらぶら】
夏、本番!皆さんお元気ですか?汗をかく前に水分補給をして、熱中症を予防しましょう。さて、当コラムでは8月に入ってから、長崎らしさを楽しめるスポットをご紹介しています。いずれも気軽に出かけられる場所ですので、夏休みを利用してぜひ、お友達やご家族とお出かけ下さい。今回は、数年前に映画「長崎ぶらぶら節」で一躍有名になった丸山界隈の一角にある「梅園天満宮」(梅園神社)です。
長崎の有名な民謡「ぶらぶら節」に、『♪遊びに行くなら花月か中の茶屋 梅園裏門たたいて丸山ぶーらぶら…』という一節がありますが、この中の゛梅園″というのは、梅園天満宮のこと。民謡にも登場するほど、江戸時代から丸山の住民に親しまれてきました。
この神社は、昔から心や体の悩みの身代わりになってくれるといわれ、地元では「身代わり天神」とも呼ばれているのですが、境内には参拝する人々の日常の悩みや願いを反映するかのように、ちょっとユニークなものがあります。
境内の中央付近に植えられたサルスベリの木。フリルのような可憐な夏咲きの花が今、満開です。その木のたもとに、「恵比須石」と呼ばれる大きな石があります。自然に刻まれたと思われる石の紋様が、満面の笑みをたたえた恵比須顔に見えます。こちらも思わずニッコリしてしまうほど、素敵な笑顔の恵比寿石。立て看板には、「この石を眺め、恵比寿様の笑顔を見ることができれば、笑顔が美しくなり、身体も心も美しくなるといわれています」と書かれていました。
神社に欠かせないのが、こま犬です。梅園天満宮の社殿前にも一対のこま犬がいますが、その内の一匹は口が開いていて、その口の中には、キャンデーらしきものが置かれています。これは「歯痛こま犬」と呼ばれているもので、説明書きには、『歯の痛みのある人が、こま犬の口に水飴を含ませるとたちまち痛みを取って下さるそうです』とあります。その昔、このいわれを聞いて全国各地から大勢の人々が参詣に訪れたそうです。痛み止めの薬を飲んだり、すぐに歯医者で診てもらえる現代とは違う時代の人々の切なる思いが伝わってきますが、今でも、キャンデーを含ませる人のあとが絶えないところを見ると、歯痛が人間につきものの身近な病であることをあらためて感じます。
梅園天満宮には、菅原道真公を祀る神社にみられる菅原道真公ゆかりの牛の像もあります。「御神牛(撫で牛)」と呼ばれるこの像を撫でてから自分の身体を撫でると身体が健全になるといわれ、頭を撫でると知恵がつくといわれているそうです。
ここにはもう一体、「撫で牛」がいました。その名も「ぼけ封じ撫で牛」。この牛と自分を交互に撫でさするとぼけを封じるといわれているそうです。
人を笑顔にし、歯痛を忘れさせ、高齢化社会にとって朗報!?ともいうべき「撫で牛」までいる梅園天満宮。何だか、ほほえましい気分にさせる不思議なところです。梅園の神様がみんなの願いを聞き入れて下さるといいですね。