第185号【島原半島の春野菜~ミニアスパラガス~】

 今、ミニ野菜が静かなブームです。野菜売り場では、芽キャベツや小玉ねぎ、ミニアスパラガス、ミニキャロット、小ナスなど、いろいろなミニ野菜を見かけるようになりました。人気の秘密は、見かけのかわいさだけではありません。普通サイズの野菜に比べて、味も香りも栄養価も劣らないことや包丁いらずで手軽に調理できることなどが魅力のようです。


 長崎で生産されるミニ野菜の中で、今、注目を浴びているのがミニアスパラガスです。




 長崎県内でも屈指の野菜の産地として知られる島原半島の最南端に位置する地域(北有馬町、南有馬町、口ノ津町、加津佐町、小浜町)で栽培されています。もともとこの地域はアスパラガスの産地として知られたところで、毎年春には旬のアスパラガスをいち早く市場へ送り出しています。




 「JA島原雲仙」の方に話を伺いました。「ミニアスパラガスは2年ほど前から本格的に取り組みはじめました。その頃、すでにタイ産のものが出回っていましたが、日本ではどこも作っていなかったのです」。アスパラガス(ミニアスパラガスを含む)を作っている農家の方々は、全員が「エコファーマー認定者」です。これは長崎県が減農薬で人と環境にやさしい栽培に努めている農家を認定したもので、「安心」、「安全」な野菜づくりの証しでもあります。




 約10センチくらいに長さに揃えられた島原半島のミニアスパラガス。太さはタバコよりも少し細めです。「ミニアスパラガスは独特の甘味があって、口当たりがやわらかいのが特長ですね」。通常、アスパラガスは茹でていただくことが多いのですが、「焼いて、塩を軽くふって食べるのがいちばんおいしい」とJAの方はいいます。さっそく試してみると、確かにアスパラガスの風味やみずみずしさがいちだんと増して美味!また、「料理のトッピングに使っているという方も多いようですね」。かわいい姿は、おいしさだけでなく料理の見映えにも貢献していました。




 実はミニアスパラガスは、ミニサイズ専用の品種ではなく、普通サイズのアスパラガスを栽培する中で、不規則にできる小さいサイズを収穫したものだそうで、いわば普通サイズの副産物なのでした。農家の方の中には、普通サイズに目が慣れているため収穫の際にミニサイズの大きさと長さを確認できる、お手製の目安棒を使って収穫している人もいらっしゃいます。




 疲労回復や滋養強壮に効果的なアスパラギン酸や細胞の老化を防ぎ、毛細血管を丈夫にするルチンが含まれているアスパラガス。あなたの健康生活にさっそく役立ててみませんか?


◎取材協力

JA島原雲仙 南部基幹営農センター

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