第172号【長崎の冬の魚~ナマコほか~】
三方を美しい海に囲まれ、東シナ海、五島灘、対馬海峡など好漁場に恵まれた長崎県。
4、200キロメートルに及ぶ海岸線には、100を超える漁港が点在し、長崎人の食卓に新鮮でおいしい魚を届けてくれています。(^▽^)
冬場のこの時期、長崎の食卓に登場するのが、「ナマコ」です。体長20~30センチ。円筒状でヌメヌメとした姿はたいへん個性的です。腹をひらいて、わたを抜き、塩でもんだあとよく洗って小口切。そして酢醤油などでいただくナマコのの酢のものは長崎のお正月料理として欠かせない一品でもあります。わが家では、深めの中皿にたっぷり盛り、ダイコンおろしを加えポン酢でいただきます。
ヌルリと口に入ってきて、噛めばコリコリ。今でこそおいしいと思える食感ですが、子供のころはヘンな食べ物だとしか思えず、親に「ナマコは腸の掃除をしてくれるから食べなさい」とよく言われたことを覚えています。
長崎では大村湾で採れる「大村ナマコ」が有名です。
昔からやわらかくて味がいいことで知られていました。
ところで江戸時代、長崎から中国へ干鮑(ほしあわび)、煎海鼠(いりこ)、鱶鰭(ふかのひれ)など数種類の水産物が輸出されていたのですが(それらは俵づくりで運んだため、「俵物」と呼ばれた)、その中の煎海鼠というのが、何を隠そう、ナマコを乾燥させたもので、中国料理の貴重な食材のひとつなのです。大村ナマコは煎海鼠としておおいに輸出されたそうです。(□□)/海鼠(ナマコ)
季節的に鍋料理を囲む機会が多いですが、長崎名物「アラ鍋」を食べたことはありますか?「アラ」とは長崎地方での呼び名で、本名は「クエ」という魚です。ハタ科で体に数本の帯状の模様があり、大きいものでは1メートル近くになるとか。この魚は、「超」がつくほどの高級魚で、市場から直接、料亭や料理屋へ行ってしまうのでしょう、スーパーの鮮魚コーナーや魚屋さんでもなかなか見かける機会が少ないのです。
アラ鍋では、脂ののった白身をホクホクさせながらいただきます。アラは本当に美味な魚で、地方を巡業する力士たちは九州に来たとき、アラを使ったちゃんこ鍋を楽しみにしているのだそうです。
この他、一年中出回っている魚ですが「タチウオ」もおいしいです。対馬の方では冬から春にかけてしっぽまでしっかり身のついた大型のタチウオが捕れ、「銀太(ぎんた)」のブランド名で出回っています。あなたの町で銀太を見かけたらぜひ、食べてみてくださいね。