第121号【長崎のスローフード】
皆様、あけましておめでとうございます。 昨日は七草節句。『セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ』のおかゆを召し上がった方も多いことでしょう。 この七草がゆは胃腸の調子を整え、ビタミンを補給。 お正月のご馳走づくしのあとの身体をいたわる、生活の知恵が活かされた昔ながらの風習です。 (^J^)無病息災ヲ祝ウ、七草ガユ
そんな“昔ながらの食”で連想するのが今、何かと話題の“スローフード”という言葉です。 これは伝統的な食材を使った郷土料理を始め、質の良い食材や料理を大切にしよう、 食卓を囲む時間を豊かにしようというもので、どこで食べても同じ、 安くて効率が良いファーストフードの対極にある食の在り方だといえます。 ( ̄∇ ̄)ハンバーガーモ好キダケド…
海の幸・山の幸に恵まれた長崎には、まさに“スローフード”といえる古くから受け継がれた料理がたくさんあります。
たとえば、唐墨(からすみ)。 これは約三百年ほど前から主に長崎近郊の野母崎で作られている珍味で、 近海でとれたボラの卵巣を幾日も塩漬けにし乾燥させたものです。 シンプルな製法ながら塩漬けや天日干しの加減など手間ひまもかかり、おいしくつくるのはなかなか難しいそうです。 その技が人から人へ大切に受け継がれ今に至っています。 【□_□】/形ガ唐ノ墨ニ似テルカラ“唐墨”
▲日本三大珍味の一つ、唐墨
五島列島には、かんころ餅という古くから伝わる名物があります。 その昔、地元産のさつま芋を2~3mmに薄く切って天日干しにした“かんころ”は五島の人々の大切な主食だったそうです。 そのかんころに、餅米、砂糖、水飴、ゴマを加えてつくったのがかんころ餅で、素朴で懐かしい自然のおいしさが魅力です。 以前は各家々で作られていたそうですが、最近ではずいぶん減ってきたとか。 ぜひとも守り伝えて欲しい味です。
▲素朴なおいしさ、かんころ餅
この他、長崎の卓袱料理、島原の具雑煮、壱岐のウニ飯、対馬の石焼き料理など、 その地域に根ざした昔ながらの料理がいろいろありますが、最後に忘れてはならないのが、ちゃんぽん、皿うどんです。 長崎にこの料理が生まれて、およそ1世紀と言われています。 独特のコシのある太麺や揚げ麺に、旬の野菜や魚介類をたっぷり何種類も使った具。 家庭で作るには具材を揃えたり、切ったりするのがちょっと面倒という人もいるようですが、 実はそういった手間ひまをかけるところに、食の喜びや楽しみがあることを教えてくれるのが“スローフード”だといえます。 手間ひまをかけて作る。旬を待つ楽しみを知る。郷土の風味をいただく。 昔は当たり前だったことを今年はちょっと見つめ直してみませんか。 (^^)/食ベルコトハ生キルコト。大切ニシタイデスネ。
▲長崎ちゃんぽん(右)・皿うどん
本場のおいしさを是非どうぞ。