第65号【悠久の時にひたる崇福寺】

 もうすぐ師走。家庭でも仕事場でもだんだん気忙しくなっていくのは、皆、心のどこかで残り少ない今年を精一杯過ごさなきゃ!と思うからでしょうか。それにしても昔の人は「師も走り回るほどの忙しさ(=師走)」だなんて、うまいことをいいますよね。 ε=ε=ε=ε=┏( ; ̄▽ ̄)┛ハシレ~


 さて今回は長崎観光名所のひとつ「崇福寺(そうふくじ)」へ行って来ました。地元では建物が朱色に塗られていることから「赤寺(あかでら)」とも呼ばれています。場所は以前(11号)ご紹介した寺町界隈の一角にあります。このお寺は、1629年(寛永6年)、長崎在住の中国人らが故郷・福州から僧侶・超然(ちょうねん)を迎え入れて建立したのが始まりです。明の末期~清の初期(17世紀)頃の建築様式は日本では他に類例がないとか。寺の各所に国宝や国の重要文化財があり、見応えたっぷりです。o(^-^)o オタカラ、オタカラ!


 崇福寺の目印になっている入り口の赤い三門(山門)は、国の重要文化財。三ケ所の入り口があるので三門と書きます。正面にかかる扁額「聖壽山(しょうじゅさん)」は黄ばく宗の祖・隠元(55号参照)の書です。この門はその華麗な姿から竜宮門とも呼ばれているのですが、たしかに昔、絵本で見た竜宮城によく似た形をしています。



▲朱塗りの崇福寺三門

(国指定重要文化財)


 三門をくぐると、いつもと違う静寂の世界。浦島太郎になったような気分で石段を登ると国宝の「第一峰門(だいいっぽうもん)」が目の前に現れました。赤いその門の軒下をのぞくと複雑かつ美しく木が組まれ、きれいな極彩色の模様が施されています。この門は1696年頃、中国の寧波(ニンポー)で切り組みしたものを唐船で運んで来て建てたといわれています。その独特の建築様式は中国の華南地方にあるもので、日本では唯一、ここでしか見られません。建築には素人の私でも思わずため息がでるほど見事な木組み。さすが国宝!です。(≧∇≦)bオミゴト



▲崇福寺第一峰門(国宝)


 さらに進むとこのお寺の本堂、「大雄宝殿(だいゆうほうでん)」(国宝)があります。お釈迦様を祀ったこの仏殿は1646年に建築されたもの。長崎市内に現存する建造物の中で最も古いのものになります。


 崇福寺の中には海上安全を祈願して海の女神・媽姐(まそ)を祀った「媽姐堂」もあります。当時の唐船は、航海の際は媽姐像を奉じ、長崎に着くとその像を唐寺に預けていたそうです。媽姐堂の天井は優しい桃色で線を描いた格子天井。いかにも女神を祀るにふさわしい色合いです。


 この唐寺にはちょっとユニークなものも置かれています。直径2mもありそうな大きな釜です。17世紀終わり頃、飢饉に苦しむ人々を救うために、二代目住職が地元の職人に作らせ、お粥を炊いて施したそうです。でもこの大きさでは調理するのも、材料を集めるのも、たいへんだったに違いありません。\(◎◇◎)/五右衛門風呂ヨリ大キイ!?



▲1tを越える重さの崇福寺大釜

(市指定有形文化財)

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