第63号【珍獣さん、いらっしゃい】
朝晩ずいぶん冷え込むようになった長崎。いよいよ冬のはじまり、はじまりといった感じです。これからは気温が下がる一方。あったかいものを食べて、元気に過ごしましょう!!(^〇^)Vネ!
さて今回は、江戸時代に長い船旅を経て日本へやって来た珍獣たちの話しです。17~18世紀にかけてオランダ船や唐船は、珍しい動物をたくさん運んで来ました。珍獣といっても当時の人たちにとっては、そうだったということで、現代人にとっては特に珍しくはありません。たとえばゾウ、ラクダ、ダチョウ、オランウータン、オウム、カナリアなど、今ではよく知られている顔ぶればかりです。⊂^j^⊃ぱお~
▲ヒトコブラクダ
(長崎市立博物館蔵)
そういった動物や鳥たちは当時はたいへんな贅沢品でした。日本では将軍家へ献上されたり、金持ちのペットとされていたようです。また当時は全国を巡る「見世物」という娯楽があり、庶民はそういったものを通して舶来の動物を目にする事ができたようです。現代のようにテレビもなく情報が限られた時代。当時の人々が初めての動物に驚く様子は、現代人の目の前にキングコングが現れるよりずっと大きかったのではないかと想像しちゃいます。(;°ロ°) ナンジャコリャ!?
動物といえば、出島での生活の様子を描いた「長崎阿蘭陀出島之図」(作者不詳)には、オランダ商館員らの日常の姿と同時に、オウム、クジャク、サル、シカ、ウシ、ヤギ、ダチョウ、シチメンチョウなど10種類にも及ぶ動物の姿があります。出島の庭先や通りを我が物顔で歩くいろんな動物たち。オランダ人の食用のための動物もいれば、引き取り手がなくそのまま飼われていたものもいたようです。 出島動物園ト評判!(゜ー、゜)☆\ (≧∇≦)チガ~ウ!
▲長崎阿蘭陀出島之図
(長崎県立美術博物館蔵)
1728年、唐船が雄雌一対のインドゾウを出島へ運んで来ました。将軍吉宗からの注文だったこのゾウは、船旅が身体を衰弱させたのか雌は長崎で病死し、江戸へは雄のみが連れて行かれます。そこでたいへんな評判を呼び、本や歌舞伎の脚本のモデルにもなったそうです。
▲楽隊を組んで象のパレード?
阿蘭陀人巡見之図(絵葉書)より
1813年にも雌のインドゾウが一匹、出島にやって来ています。運んで来たのは何とオランダから出島を奪い取ろうという魂胆のイギリス船。オランダ船になりすまして入港したのです。この頃、オランダ本国はフランスに併合されていて、オランダの国旗が掲げられているのは世界で唯一出島だけという難しい情勢でした。ニセのオランダ船はゾウを幕府へ献上したいと申し出ます。しかし幕府は運搬する際の費用や飼育の面倒くささを考えて献上を拒否。イラン ( ・_・)ノ ((( ⊂・j・⊃ (+∠+; )ガ~ン
イギリスはゾウを使ってうまく幕府へ取り入ろうとでもしたのでしょうが、思惑ははずれゾウは送り返されてしまいます。実はこの時、イギリス船の事実を知っていたのはオランダ商館長ドゥーフと、一部のオランダ通詞だけでした。ドゥーフはイギリスと独自に話し合いを持ち、何とか幕府に報告せずイギリスを追い返えしたのでした。もしばれたら今後のオランダとの関係に大きなヒビが入ったであろうこの事件。庶民達はそんな話は知るよしもなく、ただゾウを見られなかったことを残念がったそうです。ゾウ見タカッタ (ノ_<。)ヽ(^_^;) ヨシヨシ…