第58号【よいしょ! 「竹ン芸」】

 秋はお祭りの季節。長崎で秋祭りといえば豪華な奉納踊りが繰り広げられる諏訪神社の「くんち」が全国的に有名ですが、地元ではもうひとつ、白狐の妙技がユニークな奉納踊りで知られるものがあります。毎年10月14、15日に行われる若宮稲荷神社(わかみやいなり:長崎市伊良林)の「竹ン芸」(たけんげい/長崎市無形文化財)です。(“)タケンゲェ?



▲250年の歴史を持つ「竹ン芸」


 地元の氏神様として親しまれている若宮稲荷神社は、商売繁盛のお稲荷様としても知られ、320年余りの歴史を持つ神社です。近くには坂本龍馬らが開いた貿易会社「亀山社中」の跡があり、龍馬をはじめ多くの志士たちもこの神社を参拝したといわれています。( ^_^)//パンパン



▲竹ン芸が奉納される若宮

稲荷神社(長崎市伊良林)


 さて「竹ン芸」は約250年前から伝わる郷土芸能で、雄狐(おぎつね)、雌狐(めぎつね)に扮した青年が境内に設えた青竹の上に登って芸をするものです。


元々は「くんち」の奉納踊りとして八百屋町(やおやまち)から奉納されたのがはじまりと伝えられていて、明治30年代に入ってから若宮稲荷神社の奉納踊りとなったそうです。


 「竹ン芸」はまず子供が扮する子狐が登場します。5m位の青竹に登り、親狐の真似をしていろんな芸を披露します。子狐の可愛い演技の後は、いよいよ親狐の登場。10mほどもある青竹2本を使い演じます。1本は、はしごのように一定の間隔で横木が付けられ、女竹(めだけ)と呼ばれます。もう1本は男竹(おだけ)と呼ばれ、演じる頂上だけに支えの横木が付けられています。


 白装束(しろしょうぞく)に身を包んだ2匹の親狐は、女竹の方を軽やかに演じながら登っていきます。そして足だけ、竹にからませて逆さまになったり、竹の真上をお腹にあてて大の字になったりなど、見物客の「よいしょ」のかけ声とともに、見事な技が次々に決められていきます。



▲命綱なしで見事な

演技が奉納される


特に隣あう竹に身を移しながら2匹がじゃれあうところや、ゆさゆさと竹を大きく揺らすところ、そしてクライマックスで雄狐が逆さになったまま男竹を滑り降りるところなどでは、見物客らは息を飲むようなスリルを味わいます。


 2匹の狐の捨て身の演技はとても感動的なのですが、これはけっして見世物ではなく、あくまでも市民の幸せを祈る神事。狐に扮した人はまさに命がけで芸を奉納しているのです。\(゜o゜;)/見る方もドキドキ!


 中国の羅漢踊(らかんおどり)が原形といわれる「竹ン芸」。唐笛、太鼓、三味線で演奏されるシャギリの音色に中国風が感じられます。さて演技の後半では縁起物のお餅や手ぬぐいがまかれます。見物客らは福をつかもうと両手をいっぱい広げて、右往左往。雄狐はさらにふところから生きたニワトリを取り出して見物客へ放り投げます。これも縁起が良いとあってみな捕まえようと必死。でも捕まえた後、一体どうするのでしょうね。(^¬^) 食ベルor飼ウ?


 「竹ン芸」が行われる若宮神社は新大工町の電停から徒歩15分ほど。時間は14日が14時、20時。15日は12時、15時、20時からです。出かけてみませんか?

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