第49号【耳せん必携、精霊(しょうろう)流し!】
もうすぐお盆。帰省の季節ですね。私も都会に住む親戚や友人らとの再会が待ち遠しい気分です。しばらく故郷へ帰っていないという方はこの夏帰省してみてはいかがですか? 懐かしい顔や風景が、あなたをリフレッシュさせてくれますよ。
さて、この時期になると長崎の街角のあちらこちらで製作中の精霊船を見かけます。精霊船とは初盆を迎えた故人の霊を乗せる船のことで、8月15日「精霊流し」の日に極楽浄土へ送り出されます。「精霊流し」を知らない方でも、小さな船にちょうちんを灯して川に流す「万灯流し」ならご存じの方も多いはず。「精霊流し」は、この「万灯流し」が長崎独自の発展を遂げたものといわれ、「万灯流し」の静かに御霊(みたま)を見送るイメージに比べると「精霊流し」は全くその逆です。チャンコン、チャンコンという鉦(かね)の音に「ドーイドーイ(語源はナムアミダブツ)」というかけ声、さらに耳をつんざくような大量の爆竹(バクチク)の音とその煙の中、派手やかに見送るのです。(^^)さだまさしさん(グレープ)の歌のイメージとは大違い!?
▲街角で見かけた製作中の精霊船
船の上には「極楽丸」、「西方丸」、「浄土丸」などと書かれた大きな帆がはられ、家紋入りの提灯がズラリと並びます。大陸の影響か、極彩色を配したタイプが多く、ときにはカラフルな花飾りをつけた船も見られます。大きさは3m位から6m位のものが中心で、中には10m~60m位の大船もあります。個人で出すところもあれば、催合船(もやいぶね)といって町内で一つの船を仕立てるところもあります。
精霊船の行列の編成は、まず一番先を印灯籠(しるしとうろう)が行きます。印灯籠は船頭のような役割で、船もそれに合わせて動きます。印灯籠の動きはすぐ後に続く鉦を持つ人が、後方の船に合図を送ります。次に遺族や親戚の人々、そして揃いのハッピや江戸職人風の腹掛衣装の男達に引かれる精霊船と続きます。この中に道を浄める役として爆竹係がいます。精霊流し当日は、夕刻より各家々や町内を出発。幹線道路を練り歩きながら終点の長崎港(もしくは近くの海)へと向かいます。(><)近クデ見ル時ハ耳栓必携
さて江戸時代に始まったといわれる精霊流し。当初は「わらぶね」と呼ばれる竹と麦わらで作った1m~2m位の小さめの船でした。が、その頃の行列も『夢のように壮観』だったという記録があるそうです。そして最後は長崎港で船に灯をともして港に流していました。この時、船について行こうと沖合いまで泳ぐ者もいたそうです。
▲江戸時代の精霊流し(川原慶賀筆)
長崎市歴史民俗資料館のパネルより
現在は、さすがに大量の船を海に流すのはいろいろ問題があるので、同じ光景を見ることはできません。その分、陸上で力いっぱいに練り歩き、しっかりお見送りしているのですね。( ̄O ̄)ドーイドーイ