第33号【西海橋で、うず潮見物】
日本三大急流のひとつとして知られる細長い海峡(佐世保・伊ノ浦瀬戸)に架かる「西海橋」は、佐世保市と西彼(せいひ)半島を結ぶ橋。全長316m、海面からの高さ43m、“固定アーチ式”といわれる美しい形をしています。^◇^Beautiful Bridge!
▲美しいアーチ型の西海橋
この橋は昭和30年(1955)に完成。当時の最高技術と、4年の歳月と、5億5千万円という巨費を投じ、東洋一を誇る固定アーチ式の橋として全国的に名を馳せました。急流とうず潮の海をダイナミックにまたぐ鉄のアーチを一目見ようと全国から大勢の人々が押し寄せたといいます。だから「西海橋」と聞いて懐かしい想い出がよみがえった方もいらっしゃるのではないでしょうか。ちなみにこの橋は日本初の有料道路橋としても名を残しています。{・〇・今は無料ダヨ
さて、大村湾と東シナ海を結ぶこの伊ノ浦瀬戸のうず潮は、特に春の大潮の頃が見頃といわれ、直径10メートルほどの大きなうずを巻く事もあるそうです。毎年、この時期になると「観潮会」が催され、迫力のあるうず潮を楽しもうと地元や近隣から大勢の人が集まるのです。⌒_⌒Season!
▲西海橋公園はたくさんの
人で賑わっていました
ところでなぜ、うず潮ができるのかというと、大村湾の海水が潮の干満の際にせまい瀬戸を一挙に通過するため潮流が速くなり、この時、海底の複雑な地形の影響を受けて起きるのだそうです。だから潮の干満の差が最大となる大潮(旧暦の1日と15日前後)の頃は、いつもよりも激しいうずが見られるそうです。うず潮は宇宙のリズムが起こす壮大な現象なのですね。◎☆◎wow!
さて今年の「観潮会」は4月7日、8日の土日に開かれました。西海橋のたもとの桜の名所として知られる西海橋公園は、ちょうど桜の見頃を迎えていて、うず潮見物と花見の両方を楽しもうという人々で大賑わい。そして橋の上も見物人でぎっしり。その中に混じって瀬戸を見下ろすと、青い海をキャンバスに細い白波がまるでアートのようにいくつものうずを描き出していました。白波は消えたかと思うとすぐに別の場所に新しいうずを生み出します。橋の下へ降りて、うず潮を間近に見ると、潮に飲み込まれるのではないかと思うほどの勢い。潮の音も聞こえ、迫力満点です。海面は常に変化していて一瞬として同じ景色がないので、全く飽きません。時間が経つのも忘れて見入ってしまいます。あらためて自然ってすごいなと思いました。∪‐∪)トウゼンサ…
西海橋観光協会の人の話によると、ゴールデンウィークの頃も、いいうず潮が見られるとのこと。今回の「観潮会」を見逃した方や興味のある方は、お出かけになってみませんか?
余談ですが、西海橋から巨大な3本の塔が見えます。これは針尾無線塔(はりおむせんとう)で、真珠湾攻撃の暗号分「ニイタカヤマノボレ」が発信された無線塔です。
▲針尾無線塔(高さ:137m)
大正7年着工、11年完成