第636号【冬のきらめきLove&Peace】

 あっという間に師走がやって来ました。北国では厳しい寒さがすでにはじまっていますが、長崎は比較的暖かで過ごしやすい日が続いています。ただ、この冬の九州は、寒暖差が激しく、急に積雪に見舞われることがあるかもしれないそう。気温の乱高下に体調をくずさないよう、気を付けたいものです。




 さて、12月といえば、クリスマスシーズン。長崎の街も夕方になるとあちらこちらでイルミネーションが点灯し、街中を美しく彩っています。新型コロナやウクライナ侵攻のことなど、世界中がむずかしい現実を抱えたまま迎えたこの冬のイルミネーションは、例年よりシックで控えめな印象。その分、「Love&Peace」の強い思いが、静かなきらめきに込められているように感じます。そこで今回は、ライトアップの美しい景観を楽しめるスポットをいくつかご紹介します。

 

 今年9月、西九州新幹線が開業した長崎駅には、ステンドグラスをモチーフにした大きなクリスマスツリーが新駅舎の前に設けられました。ツリーは、万華鏡のように、いろいろな色合いに変化して、駅舎に出入りする大勢の人たちの目を楽しませています。




 今年、国の史跡に指定されてから100周年を迎えた出島も、夜間はきらめきのスポットとして注目されています。オランダ商館員の住居や料理部屋、日本人役人の詰所、貿易品を保管する土蔵など、19世紀前半の建物が復元されている、現在の出島。夕方以降、控えめなライトアップを頼りに散策すると、建物の裏手から、ヒョイと地役人やオランダ商館員が現れそうでドキドキ。日中の出島とはまた違った感覚で、往時を想像することができます。




 明治期に建てられた旧出島神学校そばの広場には、目にも暖かな黄金色のイルミネーションをまとったモミの木がありました。このツリーは、「オランダ冬至」を祝って設けられたもの(17:00〜21:00まで点灯。12月25日まで)。「オランダ冬至」とは、江戸時代、キリスト教が禁止されていた日本で、出島のオランダ人が「冬至」の祝いとしてクリスマスの宴を行っていたことから、そう呼ばれるようになったものです。復元されたカピタン(オランダ商館長)の居宅の2階には、冬至の宴会の料理が再現されているので、興味のある方は、ぜひ、出島でご覧ください。かなりのご馳走です。




 長崎港を見渡す南山手の丘にあるグラバー園も、現在、ロマンチックなライトアップが施されています(〜12/25まで。夜間入園受付終了は19:40)。園内に設けられた大きなツリーは、やさしいブルーのかがやきがすてき。




 また、昨年訪れた時は修復工事中だった旧グラバー邸(国指定重要文化財/世界遺産)は、工事を終えていました。グレーブルーの外観や白の窓枠が印象的な温室もきれいに再現。かつてグラバー親子が暮らしたこの住まいは、現存する日本最古の木造洋風建築(1863年建築)。幕末〜明治期の長崎の象徴のひとつとして、これからも大切にされていくことでしょう。




◎本年も、「ちゃんぽんコラム」をご愛読いただき、ありがとうございました。

どうぞ、良い年をお迎えください。

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